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ビタミンC美容液の論文レビュー「ビタミンC外用剤が日焼けに対してどのような効果があるか?」

      2024/07/05

ビタミンC美容液は日焼けした後の肌状態をどのくらい改善するか?

先週「ビタミンC配合美容液にどんな効果があるのか?についての論文情報まとめ」という記事をアップしました。
ビタミンCの効果とかは美容に詳しい方なら知っていることばかりだったかと思います。

今回はそんな一般論のような内容から少し深掘りをして、前回紹介した「アスコルビン酸の局所使用と光損傷を受けた皮膚の形状に対するその効果」という研究について解説していこうと思います。
「アスコルビン酸」というのは「ビタミンC」のことです。

この研究は、ビタミンC外用剤が日焼けに対してどのような効果があるかを調べたものです。3
か月間の使用を通じて、肌の改善がどの程度見られるのかが検討されています。

研究結果の中では「肌の質をどのくらい改善したか?」が具体的に書かれているので、美容家の方にも参考になるかと思います。

では、順を追って解説していきます。

どういう前提の研究? 研究の概要

この研究は、ランダム化二重盲検対照試験という方法で行われました。
この方法では、被験者と評価者の両方がどちらの治療を受けているか分からない状態で試験を行うことで、結果のバイアスを防ぐことができます。

被験者はフィッツパトリックの皮膚タイプ I、II、IIIに分類される19人のボランティアでした。

フィッツパトリックの皮膚タイプとは、紫外線に対する皮膚の感受性を元に、肌の色や日焼けのしやすさを基に分類される皮膚タイプのことです。
タイプIは非常に明るい肌で、日焼けしやすく、タイプIIIは中間の肌色で、比較的日焼けに強いとされています。

これらの被験者は顔面皮膚に軽度から中等度の日焼けをした後に、肌の片側にビタミンC外用剤を塗布し、もう片側には対照用の溶媒(ビタミンCが含まれていない液体)を塗布しました。
これを毎日行い、3か月間続け、その後、肌の変化を評価しました。

日焼けした肌

どんな効果があったの?評価項目と研究結果の解説

ビタミンCを塗布した側の肌は、対照側に比べて明らかに改善が見られました。
具体的には、小じわや肌の粗さ、たるみ、そして色素沈着が有意に減少しました。
臨床評価でも、ビタミンCを使用した側の肌が大幅に改善したと報告されています。

ビタミンC外用剤を使用した側の肌では、以下のような具体的な改善が見られました。

画像解析の結果

まず、光学的形状測定画像解析によると、ビタミンCを使用した側の肌が73.7%改善しました。
光学的形状測定画像解析とは、特殊な機器を使って肌の表面を詳細に分析し、しわや肌の粗さなどを数値化する方法です。

さらに、Rz顔面南北軸パラメータでも68.4%の改善が見られました。
Rzパラメータは、肌の表面の凹凸を示す指標で、値が低いほど肌が滑らかであることを示す指標です。
ここでは肌の凹凸のために使われていますが、工業製品などにも使用されている指標です。

きれいな肌

臨床評価

臨床評価においても、小じわ、触感の粗さ、粗いしわ、肌のたるみや色調、黄ばみなどについて、ビタミンCを使用した側で有意な改善が確認されました。
臨床評価とは、医師や専門家が直接肌を観察し、状態を評価する方法です。

患者アンケート

患者アンケートの結果では、ビタミンCを使用した側の肌が84.2%改善したという結果が得られました。
患者アンケートでは、被験者自身が感じた肌の改善度合いや副作用について報告されています。

写真評価

さらに、写真評価でも57.9%の改善が見られました。
写真評価とは、治療前後の写真を比較し、視覚的に改善の度合いを評価する方法です。

全体的に見て、ビタミンC外用剤を使用することで、肌の質感や見た目が大幅に改善されることが、この研究で示されました。

ビタミンC美容液

ビタミンC誘導体は効果薄い?研究報告でのコメントについて

この研究の報告の最後に、研究で使用した製品のビタミンCと他の外用ビタミンC製品について、注意点が書かれています。

研究で使用したビタミンCは「L-アスコルビン酸」で天然に存在するビタミンCです。
一方、市販されているビタミンC製品の中には「ビタミンC誘導体」といわれる、化学的な加工がされたビタミンCを使っているものがあります。

天然型のビタミンCは、そのまま皮膚で利用できる状態のビタミンCです。
天然型のビタミンCは皮膚の水溶性の部分を通じて吸収され、抗酸化作用、コラーゲン合成促進作用、メラニン合成抑制作用を発揮すると考えられています。

誘導体の場合は、化学修飾されていることで、天然型のビタミンCと異なり光や熱に対して安定しており、長期的な保存性能が良いというのが特徴です。

この研究報告では、ビタミンC誘導体は、皮膚への浸透しにくいことや、体が利用できるビタミンCの形に分解されないと効果が発揮されないことを指摘しています。

つまり、天然型ビタミンCと比較して、ビタミンC誘導体の有効性は低いのではないか?ということを報告しています。

スキンケアイメージ

まとめ ビタミンC美容液は日焼け後の肌にも効果あるが、製品選びに注意

この研究報告からは、ビタミンCの外用を毎日続けることで、日焼けをした後の皮膚に対しても、肌の質感や見た目が大幅に改善されることがわかります。

調査に使用されたビタミンCは、天然型のビタミンCを配合する製品でしたが、市場にはビタミンC誘導体を配合する製品も流通しています。ビタミンC誘導体の有効性が同じようにあるかはわからない点に注意が必要です。

天然型ビタミンCが使用されているかは、製品のラベルを良く読むことが重要です。
特に個人輸入の場合は流通国の言語で書かれていることもあるので、ご注文の前に製品表示をよく確認してみてください。

また、ビタミンC美容液を使用する際は、まとまった期間使用したうえで、効果を実感できるか?という視点で肌の状態を確認するとよいかと思います。

以上、研究報告のレビューからのビタミンC解説でした。

<注意>

この研究報告は1999年にされたもので、報告から時間が経過しております。
ビタミンCに関する重要な研究報告ではありますが、現在の知見とはことなる場合があるため、最新の情報については、他の研究もご確認ください。

参考情報

  1. Topical Vitamin C and the Skin: Mechanisms of Action and Clinical Applications
    https://jcadonline.com/topical-vitamin-c-and-the-skin-mechanisms-of-action-and-clinical-applications/
    Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology というメディアにおける、論文情報の引用まとめ記事です。外用ビタミンCが皮膚に与える多岐にわたる利点と、臨床研究で観察された具体的な結果について詳細に解説しています。
  2. Cosmeceutical Vitamins: Vitamin C
    https://clinicalgate.com/cosmeceutical-vitamins-vitamin-c/
    Clinicalgateは臨床医学に関する情報をまとめている民間団体です。この記事は化粧品としてのビタミンCについて、その効果などを説明しています。
  3. Vitamin C in dermatology
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3673383/
    インドにおける皮膚科医ジャーナルに掲載された情報です。皮膚科領域におけるビタミンCの作用や特徴について、まとまった説明が提供されています。
  4. Use of topical ascorbic acid and its effects on photodamaged skin topography
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10522500/
    皮膚の軽度から中程度の光損傷の治療におけるビタミンCの局所適用の有効性を判断するための研究報告です。
  5. フィッツパトリックのスキンタイプ – Wikipedia
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%91%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97
    皮膚タイプ分類についてのWikipediaによる百科事典情報です。

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