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睡眠薬を飲み過ぎてしまった時の対処法!救急車を呼んで安静に

   

「睡眠薬を飲み過ぎてしまった…」「家族が睡眠薬を大量に飲んで、ぐったりしている…」。

インターネットで「睡眠薬 飲み過ぎ 救急車」と検索している時点で、事態の緊急性を感じているはずです。

自己判断で様子を見たり、無理に吐かせようとしたりすることは、かえって状況を悪化させるリスクを伴います。

すぐに救急車を呼び、もし近くに薬の空シート・ボトル・お薬手帳などがあれば到着した救急隊員に見せるようにしてください。(参考文献:重篤副作用疾患別対応マニュアル|厚生労働省

この記事では、睡眠薬を飲み過ぎてしまった際の身体への影響、緊急時に取るべき具体的な対処法について解説します。
なお、記事内では分かりやすく「睡眠薬」と表していますが、睡眠薬とよく似た作用を示す抗不安薬(安定剤などとも呼ばれます)を飲み過ぎてしまった場合も同様と考えていいでしょう。

【監修】オオサカ堂 薬事チーム

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【救急車を呼ぶ前に】睡眠薬の飲み過ぎ対処法①意識レベルの確認

睡眠薬を飲み過ぎた際の最も重要な判断基準の一つが、意識レベルの変化です。

もし、あなた自身や周囲の人が睡眠薬を大量に摂取し、以下のいずれかの状態に当てはまる場合は、直ちに救急車(119番)を呼ぶ準備をしてください。そして、倒れている本人を回復体位の体勢にしてあげましょう。

意識レベルを確認するポイント

  • 呼びかけへの反応: 「大丈夫ですか?」などと声をかけても、目を開けない、返事をしない、うなずかないなど、反応が鈍い、あるいは全くない。
  • 刺激への反応: 痛み刺激(例: 爪の付け根を強く押す)を与えても、顔をしかめない、体を動かさないなど、反応が見られない。

意識レベルの低下は、脳の中枢神経が深く抑制されているサインであり、そのままにしておくと呼吸抑制や舌根沈下(ベロが気道を塞いでしまう状態)といった命に関わる事態になりかねません。

回復体位の体勢にする

応急手当 回復体位|大阪市消防局YouTube

回復体位とは、普段通りの呼吸はしているが意識がない状態の人が、のどの奥の空気の通り道が狭まったり、吐物で詰まったりすることを防ぐ体勢のことをいいます。
難しくないので、3ステップを覚えて実践しましょう。

  • 倒れている人の片方の腕を体に対して90℃に伸ばす
  • 伸ばした腕が下になるように、体を横向きに寝かせる
  • 上になった腕を曲げて、手の甲を顔の下にはさみ、やや下を向いた顔の位置で安定させる

【救急車を呼ぶ前に】睡眠薬の飲み過ぎ対処法②その他の具体的な症状

意識レベルの状況以外にも、睡眠薬の飲み過ぎによって現れる様々な症状があります。

これらの症状も、緊急性を判断する上での重要な手がかりとなります。

睡眠薬飲み過ぎのその他の具体的な症状

嘔吐

大量に摂取した薬を吐いてしまうことがあります。これ自体は解毒にもつながるため問題ないですが、意識が低下している状態で嘔吐すると、吐いた物が気管に入り、呼吸困難や誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こすリスクが非常に高いため、上述したように回復体位をとることが予防に有効です。

体温の低下

体の機能が低下することで、体温が異常に低くなる(低体温)ことがあります。体が冷たく、震えが見られない場合もあります。

瞳孔の変化

瞳孔(瞳の黒目の部分)が異常に小さくなったり、逆に開いたりすることがあります。光への反応が鈍くなることもあります。

けいれん

稀に、筋肉が意思とは関係なく激しく収縮するけいれん発作を起こすことがあります。

発汗、冷や汗

体が過剰に反応して、冷や汗をかくことがあります。

身体のふらつき、転倒

立ち上がろうとするとふらつく、まっすぐに歩けない、バランスを崩して転倒しやすい。

これらの症状が複数見られる場合や、時間とともに悪化していく場合は、非常に危険な状態にあることを示しています。自己判断で時間を浪費せず、直ちに適切な行動を取ることが、命を守る上で最も重要です。

119番通報前に家族・同僚が行うべき初期対応フロー

睡眠薬を飲み過ぎてしまった人を発見した場合、一刻も早い救急搬送が必要です。しかし、救急車が到着するまでの間にも、周囲の人が適切な初期対応を行うことで、命を救える可能性が高まります。

救急隊到着後に伝えるべきこと

  1. 冷静に119番に電話する: パニックにならず、落ち着いて状況を伝えることが重要です。
  2. 状況を具体的に伝える:
    • 何が起きたか(例: 「睡眠薬を飲み過ぎて意識がない」)
    • いつ飲んだか(分かる範囲で正確な時間)
    • 何を飲んだか、どれくらい飲んだか(薬の名前、量、シートや容器があれば伝える)
    • 現在の状態(意識の有無、呼吸の状態、その他の症状)
    • 場所(住所、目印など)
  3. 電話を切らず指示を待つ: 救急隊員から指示があるまでは電話を切らず、その指示に従って行動してください。

薬の空シート・ボトル・服薬履歴シートを確保

救急車が到着したら、救急隊員や医師は、患者が何を、どれくらい飲んだかを正確に知る必要があります。これは、適切な治療方針を決定する上で極めて重要な情報です。

  • 薬の現物、空のシートやボトル: 飲んだ薬のパッケージ、PTPシート(錠剤のシート)、液体のボトルなど、残っているものや空になったものを全て集めてください。
  • お薬手帳や薬のしおり: 普段から服用している薬がある場合は、お薬手帳や、かかりつけの病院からもらった服薬履歴がわかるものを用意しましょう。
  • メモ: もし、いつ、何を、どれくらい飲んだかについて情報がある場合は、メモに書き留めて救急隊員に渡せるようにしておくとスムーズです。

これらの情報が正確であればあるほど、病院での処置が迅速かつ的確に行われ、患者の命を救う可能性が高まります。

睡眠薬の飲み過ぎは命に関わる危険行為です

オーバードーズ(OD)とは、医薬品を定められた用量を超えて大量摂取すること。
最近は特に若い人を中心に、睡眠薬だけでなく市販薬(風邪薬や咳止めなど)をODするケースが増加傾向です。処方薬のいわゆるベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬や安定剤のODは、中高年や高齢の方でも増えています。
いかなる医薬品でも、オーバードーズは短時間で急激な作用をもたらすため非常に危険な行為です。また現代の睡眠薬の多くは、過量服用しても命に関わるほどの副作用が起きないように改良されており、「命は守られたものの思わぬ後遺症を招いてしまう」といったリスクもあります。

睡眠薬を飲み過ぎたくなる衝動と向き合うメンタルサポート

「睡眠薬を飲み過ぎてしまう」ということは、辛い気持ちや孤独感などの問題を抱えているはずです。搬送されて助かったとしても、悲劇を繰り返さないためには根本原因と向き合うことが、真の回復への道筋となります。

精神的な苦痛が背景にある場合

睡眠薬を多量に摂取したくなる衝動は、「生きたい」と「死にたい」という相反する感情の狭間で揺れ動く心のサインであることが少なくありません。うつ病、不安障害などの精神疾患による場合や、強いストレス、人間関係・家庭環境の悩み、仕事や学業のプレッシャーなど、様々な要因が絡み合っている可能性があります。

特にこのような繊細な悩みは、身近な人には打ち明けづらく、抱え込みやすいという性質があります。秘密厳守で打ち明けられる専門的・社会的なサポートを上手く活用することが大切です。

24時間対応のこころの健康電話

もし、再び睡眠薬を飲み過ぎてしまいそうな衝動に駆られたり、心がどうしようもなく辛くなったりした場合は、24時間対応のこころの健康電話や、公的な相談窓口に連絡することを強くお勧めします。

いのちの電話

24時間いつでも、無料で相談に乗ってくれる電話相談窓口です。匿名で話すことができ、自殺を考えている人だけでなく、孤独や生きづらさを感じている人、精神的な苦痛を抱えている人など、誰でも利用できます。

いのちの電話:0570-064-556 (ナビダイヤル、一部IP電話からは利用不可) / 03-3264-4343 (IP電話などから)

精神保健福祉センター

各都道府県・政令指定都市に設置されており、精神的な健康問題や薬物依存に関する相談を受け付けています。専門のスタッフが、適切な医療機関やサポートグループを紹介してくれます。

全国の精神保健福祉センター

薬物依存相談窓口

薬物への依存に苦しんでいる場合は、薬物乱用防止センターや各地の保健所などに相談窓口があります。

これらの窓口は、あなたの苦しみを真剣に受け止め、適切なサポートへと繋いでくれます。決して一人で抱え込まず、勇気を出して一歩踏み出すことが、回復への第一歩となります。

全国の相談窓口・医療機関を探す

【救急車】睡眠薬を飲み過ぎてしまった時に関するQ&A

Q1. 市販の睡眠改善薬でも救急車を呼ぶべき?

A. はい、市販の睡眠改善薬であっても、大量に摂取した場合は救急車を呼ぶべきです。 市販薬だからといって安全性が高いわけではありません。主成分が抗ヒスタミン薬である場合が多く、過剰摂取すると強い眠気、意識混濁、幻覚、けいれん、心臓への負担など、様々な副作用を引き起こす可能性があります。特にアルコールと併用すると、作用が増強され非常に危険です。意識レベルが危険な場合は迷わず119番通報し、意識はしっかりしているものの体調に異変を感じたら、すぐに医療機関を受診してください。

Q2. 救急車を呼ぶとお金がかかる?

A. 救急車を呼ぶこと自体に料金はかかりません。 救急搬送にかかる費用は無料です。ただし、搬送先の病院での診察費や治療費は、通常の医療費として発生します(健康保険証があれば保険が適用されます)。費用を心配して救急車の要請をためらうことは、命に関わる事態になりかねません。緊急性が高いと判断した場合は、費用の心配よりも命を最優先し、迷わず119番通報してください。

(参考文献:救急質問コーナー|大東四條畷消防組合)

Q3. 大量摂取後、頭は痛いが意識はある。このまま安静にしていたらいいか?

A. いいえ、頭痛以外に意識の異常(眠気が強い、ぼんやりする)や、ふらつき、吐き気などの症状がある場合は、安静にするだけでは危険です。 意識があるからといって安心はできません。睡眠薬の作用は摂取した量に依存して強く現れるとされており、種類によっては時間が経ってから意識レベルが低下したり、呼吸が抑制されたりする可能性があります。迷わず119番通報してください。特に、一人暮らしで症状が悪化した際に助けを呼べない状況になるのは非常に危険です。

まとめ:睡眠薬を飲み過ぎてしまった時は、状況を見て救急車を呼びましょう

睡眠薬を規定量以上に飲んだ疑いがあるときは、呼びかけに対する反応が薄い、チアノーゼや大量嘔吐がある場合などは迷わず119番しましょう。

薬の空箱やシート、やお薬手帳をまとめて救急隊員へ渡すと後の治療に役立ちます。

症状が軽く見えても後から悪化することがあるため、自己判断で様子見するのは危険です。

不眠やストレスで服薬量が増えている人は、主治医やこころの相談窓口に早めに助けを求め、過量服薬を繰り返さない環境を整えることが何より大切となります。

日頃から決められた量と服用時間を守り、余った薬は家族と管理するなど、事故を未然に防ぐ仕組みを作りましょう。

監修者コメント
監修者の写真

救急外来(ER)に運ばれてくる人の約1割が中毒患者といわれており、その中の半数が医薬品のオーバードーズともいわれています。有事に居合わせた周囲の人が冷静に対処できるよう、ぜひ本記事を参考にしてください。またこうした問題に対するさまざまな社会的支援・相談サービスがあることを知っていただくことで、少しでも困っている人につながることを願っています。

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