2025/12/03
ビタミンCや食物繊維が豊富で、甘酸っぱさが魅力のパイナップル。しかし「食べてはいけない」と聞くと不安ですね。実際、生のものを食べると舌がピリピリしたり、胃が痛くなったりした経験がある方もいるのではないでしょうか。
これらの原因は、すべてパイナップルに含まれる酵素ブロメラインによるものです。ブロメラインは、鼻や歯肉などの痛みや腫れの軽減に役立つとされており、健康な人がパイナップルを果物として少量食べる程度であれば、大きな問題はないと考えられます(参考文献:ブロメライン|厚生労働省eJIM)。
この記事では、パイナップルを食べてはいけないと言われる理由や、特に注意を必要とする病気について、薬剤師が説明します。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム
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目次
【結論】パイナップルを食べてはいけない場合はある!目安は果物200g/日
結果として、パイナップルを食べてはいけないケースは存在します。例えばパイナップルにアレルギーがある場合や胃腸が弱っている場合などです。
一方で、健康な人が適量を守って食べる分には、大きな問題はないと考えられます。実際、厚生労働省や農林水産省にて公開されている「食事バランスガイド」によると、果物1日分の適量は200g(2SV)とされています(参考文献:「食事バランスガイド」について|農林水産省)。
果物200gは両手のひらに乗る、持てる量と覚えるとわかりやすいです!
健康な人であれば、他の果物と併せて目安量の200gを超えなければ、問題ないでしょう。なお、パイナップルに含まれる酵素ブロメラインが刺激となり、消化器系の症状が現れることがあります(参考文献:ブロメライン|厚生労働省eJIM)。
また、一緒に飲む薬によっては飲み合わせに注意が必要です。次の章では、パイナップルを食べてはいけないと言われる理由を解説します。
パイナップルを食べてはいけない理由5選!ポイントはブロメライン
①パイナップルを食べてはいけない人|ダイエット・糖質制限中
パイナップルは甘みが強く、ダイエット中や糖質制限中の人は注意が必要です。文部科学省の食品成分データベースによると、生のパイナップル100gあたりの炭水化物は13.7gで、そのうち糖質は12.6gです(参考文献:食品成分データベース パインアップル/生|文部科学省)。
適量であればビタミン補給に役立ちますが、過剰に食べると糖質オーバーになる可能性があります。
また、果汁により糖質の吸収が早く進み、血糖値が上がりやすくなるので、注意しましょう。
②パイナップルを食べてはいけない人|お腹が弱い人は消化器症状(胃痛や吐き気、腹痛・下痢)に注意!
パイナップルを特に空腹時に食べると、胃が痛むことがあります。これは、パイナップルに含まれる、たんぱく質を分解する酵素「ブロメライン」の働きによるものです。
胃や腸の粘膜はたんぱく質で出来ているため、空腹時や胃腸が弱っている時に大量に食べると、粘膜が刺激され、胃痛・腹痛や吐き気、下痢を引き起こします。
ブロメラインによる副作用はほとんど報告されていませんが、その中でも最も多い報告は胃のむかつきと下痢です(参考文献:ブロメライン|厚生労働省eJIM)。
③パイナップルを食べてはいけない人|舌のピリピリ・口内の痛みやかゆみに注意
パイナップルを食べた時に舌がピリピリしたり、口内がかゆくなったり痛みを感じたりした方もいるのでは無いでしょうか。この症状もブロメラインによるものです。
舌や口の表面の粘膜はたんぱく質でできているため、ブロメラインによって分解され、粘膜が薄くなることで刺激を感じやすくなります。この症状は、時間が経てば唾液で修復されるため、一過性のものです。
酵素の働きは60℃以上の加熱で失われるので、刺激が強いと感じる場合は、加熱料理に使用したり缶詰製品を選んだりすると良いでしょう。
④パイナップルを食べてはいけない人|妊婦や子供は避けるべきという噂に根拠はない
「妊婦や子供はパイナップルを食べてはいけない」と聞きますが、医学的に禁止されているわけではありません。
この背景は、1960年代頃に「ブロメラインが子宮収縮を促進する」という、いくつかの論文が発表されたことにあります。こうした研究は、「高濃度に抽出したブロメラインを、摘出した子宮組織に直接投与すると収縮が起きた」という趣旨のものです。
しかし、現時点では妊娠中や授乳中のブロメライン摂取の安全性についてはほとんど分かっていないと結論付けられています(参考文献:ブロメライン|厚生労働省eJIM)。
理由⑤パイナップルの食べ過ぎて倒れる・死亡は噂にすぎない
「パイナップルの食べ過ぎで死亡する」という情報をネットで見かけますが、実際にそのような報告は確認できませんでした。厚生労働省にて公開している海外情報サイトでは、ブロメラインによる副作用はほとんど報告されておらず、「もっとも報告が多い副作用は胃のむかつきと下痢」と明記しています(参考文献:ブロメライン|厚生労働省eJIM)。
ただし、パイナップルにアレルギーがある人が食べた場合は、量によらずアレルギー反応を起こす恐れがあり、死亡につながる危険性が高まります。
要注意!特定アレルギーがある人はパイナップルを食べてはいけない
パイナップルはアレルギーを引き起こす可能性がある果物の一つです。食べてから数分以内に口や喉に刺激感やかゆみ、唇が腫れたりする場合は、「口腔アレルギー症候群」の可能性があります(参考文献:口腔アレルギー症候群|日本アレルギー学会)。
特に、ラテックス(天然ゴム)にアレルギーのある人は、パイナップルやバナナ、アボカド、キウイフルーツなどにアレルギー反応を示すことがあります。これは、ラテックスとこれらの植物性食品の成分の構造が似ているために起こり、交差反応と呼ばれています(参考文献:ラテックスアレルギー/Q&A|日本アレルギー学会)。
パイナップルを食べて息苦しさや蕁麻疹など、体に異常を感じた場合は、直ちに医療機関を受診しましょう。
薬剤師が教える!パイナップルと薬の飲み合わせに注意が必要な場合
パイナップルに含まれるブロメラインが、特定の薬剤に影響を与える可能性があります。
・抗生物質:特定の抗生物質の血中濃度が上昇する
・抗凝固薬:ブロメラインの血液を固まりにくくする働きにより、血液をサラサラにする薬の効果が強く出る
詳細は、「【薬剤師監修】パイナップルと薬の飲み合わせ!注意が必要な成分3選とサプリも解説」をご覧ください。
パイナップルのデメリットは工夫で解決!おいしく食べる3つのコツ
デメリットを回避し、おいしく食べるコツを紹介します。
コツ①ヨーグルトと一緒も!食べ合わせや調理法を工夫する
舌のピリピリ感や胃痛を防ぐために効果的なのが、ヨーグルトと一緒に食べる方法です。ブロメラインがヨーグルトに含まれるたんぱく質を分解するため、舌や胃の粘膜への刺激を緩和します。
サラダに入れる場合は、たんぱく質を含む食品と合わせるタイミングを調整すると、味が変わりにくくなります。また、酵素の働きは加熱で失活するため、酢豚や焼き菓子などに利用するのも良いでしょう。
缶詰のパイナップルは加熱済みなので、刺激を気にせず食べられますが、糖質の摂りすぎには注意が必要です。
コツ②夜はダメ?食べる時間帯を工夫する
夜遅い時間に食べると糖質が消費されず、脂肪として蓄えられてしまいます。そのため、食べるタイミングは、朝または昼間がおすすめです。パイナップルに含まれる果糖は比較的早く吸収されるので、活動前のエネルギー補給源に良いでしょう。
一方で、肉料理などを食べた後のデザートとして食べることで、胃もたれを防ぐ効果が期待できます。パイナップルは食べる時間を工夫して、日中の活動的な時間に取り入れましょう。
コツ③常温でもOK?選び方や保存方法を工夫する
パイナップルは、収穫後は甘くなることのない、追熟しない果物です。そのため、購入の際は熟しているものを選ぶのがポイントです。
食べごろを見分けるポイントは次の通りです。
・甘い香りがする
・葉先まで濃い緑色をしている
・葉がピンと立っている
丸ごと保存する際は、新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。その際、葉の部分を下にして逆さまに立てて保存すると、下に溜まった甘みが全体に行き渡りやすくなります。カットしたものは密閉容器に入れ、早めに食べきるようにしてください。
【メリット】パイナップルの5つの健康効果
パイナップルはビタミンや食物繊維を含むため、美容と健康をサポートします。毎日少しずつ食べることで次のようなメリットがあります。
・美肌効果:ビタミンCがコラーゲンの生成を助け、日焼けによるメラニンの沈着を防ぎます。
・便秘解消:100g中に1gの不溶性食物繊維を含むので、腸を刺激して排便をスムーズにします(参考文献:パイナップルに含まれる栄養について|Dole)。
・むくみ予防・血圧サポート:カリウムが体内の余分なナトリウム(塩分)を排出するため、むくみの予防や血圧のサポートが期待できます。
・疲労回復:ビタミンB1やクエン酸を含むため、疲労回復に役立ちます。
このように、適量であればいくつもの嬉しい効果が期待できます。
「パイナップルを食べてはいけない」に関するよくある質問(FAQ)
Q1. パイナップルを食べてはいけない病気はありますか?
糖尿病の人や、腎臓病でカリウム制限がある人、胃炎など胃粘膜が弱っている人は注意が必要です。パイナップルは糖質を含むため、糖尿病の方は食事療法全体のバランスを考える必要があります。
また、カリウムを多く含むため、腎機能が低下している方は医師の指示に従って摂取量を制限してください。ブロメラインやパイナップルの酸による刺激で、消化器症状が悪化する恐れがあります。
「絶対に食べてはいけない」わけではありませんが、主治医と相談の上で量を決めることが大切です。
Q2. パイナップルを食べるデメリットは?
食べ過ぎによるカロリー・糖質過多や、口腔内・消化管の刺激が挙げられます。過剰な食べ過ぎは、何事もリスクとなります。
缶詰製品の場合、刺激はほとんど感じられませんが、生食よりも糖質が多いため注意しなくてはなりません。特にシロップまで飲むと糖質過多につながります。
また、パイナップルは酸味が強いため、長時間口に含むと歯のエナメル質に悪影響を及ぼす可能性もあります。食べた後はうがいをするなど、口腔ケアを心がけると安心です。
Q3. パイナップルが食べられないサインはありますか?
体が受け付けないサインとしては、食べて数分以内に現れる「舌の強い痛み」「喉の違和感」「蕁麻疹」「唇の腫れ」などの症状が挙げられます。これらはアレルギー反応の可能性があります。
また、腐敗が進んでいるものも食べられません。発酵したようなアルコール臭がする、果肉が溶けている、カビが生えているといった状態では、食べずに廃棄してください。
まとめ:パイナップルを食べてはいけないケースはあるが、守れば安全で美味しいフルーツ!
パイナップルを食べてはいけないと言われる理由は、主に酵素による刺激やアレルギー、糖質過多の懸念によるものです。
次のポイントを守ることで妊婦や胃腸の弱い人でも安心して食べることができます。
- 果物の摂取は1日200gを目安にする
- 空腹時を避ける
- ピリピリ感を避けるためにヨーグルトと混ぜる・加熱する
- アレルギー症状が出たらすぐに中止し、受診する
また、食べ合わせや、食べる時間を工夫することで、よりおいしく食べられます。パイナップルはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、栄養面や美容効果も期待できます。リスクを把握し、ポイントを守りながら健康と美容に役立ててください。

本記事は、パイナップルに含まれる酵素ブロメラインの作用と、量や体質によって生じるリスクを整理したものです。糖質・アレルギー・薬との相互作用に注意しつつ、果物200g/日を目安に、空腹時を避けて適量を楽しむことが大切です。缶詰や加熱調理をうまく取り入れると刺激を抑えつつ栄養を取り入れられます。体調に不安がある方は自己判断せず医師に相談しましょう。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム(薬剤師在籍)
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