2025/11/12
味の素が体に悪いは、誤解です。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議でも安全性が認められています(参考文献:味の素®の原材料は何?製法は?安全なの?|味の素株式会社)。また味の素は、サトウキビを発酵させてできる「グルタミン酸ナトリウム」を原材料とするうま味調味料です。
『味の素は体に悪い』というSNSの投稿を見て、ご家族(特に小さなお子様)の健康が不安になっていませんか?
なぜ、味の素が体に悪いと言われるようになったのか?、この記事では、薬剤師が『科学的な安全性』だけでなく、あなたが抱える『なんとなく怖い』『手抜きだと思われる罪悪感』といった感情的な不安まで解消します。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム
おかげさまで28年間、安心信頼の個人輸入代行・オオサカ堂のコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師資格保有者が監修。
目次
【結論】味の素は体に悪いは嘘!科学的に安全性が証明されています
味の素が体に悪いというのは誤解です。
その安全性は、世界中の公的機関の研究により確認されています。
- 味の素の成分は「グルタミン酸ナトリウム」
- 1987年には国際的な食品添加物の専門機関であるJECFA(国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議)は、「グルタミン酸ナトリウムが人の健康を害することはない」と評価し、「一日の許容摂取量を特定しない」と結論付けています。
- 日本では、1960年に食品衛生法に基づいて安全と認められました。
(参考文献:味の素®の原材料は何?製法は?安全なの?|味の素株式会社)。
味の素はなぜ体に悪いという誤解が生まれたのか?3つの歴史的背景

科学的に安全性が証明されているにもかかわらず、なぜ「味の素が体に悪い」と言われるようになったのでしょうか。
誤解を生んだ3つの歴史的背景が絡んでいます。
誤解の背景1:1960年代の「中華料理店症候群」という誤解
1960年代にアメリカで、中華料理店でワンタンスープを食べたあと に、頭痛やめまい、動悸などの「中華料理店症候群」が起こるという報告がりました。
大量のグルタミン酸ナトリウム(MSG)の摂取が原因として疑われましたが、現在はMSGの摂取と中華料理店症候群との間に明確な関係は認められないという結論に至っています(参考文献:うま味調味料は体によくないのですか?【食品安全FAQ】|東京都保健医療局、Food Chem Toxicol. 1986 Apr;24(4):351-4.)。
原因は、塩分の過剰摂取やビタミンB6不足、酸化した油等が考えられています。
誤解の背景2:「化学調味料」という言葉の誕生とネガティブなイメージ
「化学調味料」という名称は、1950~1960年代にNHKの料理番組で、「味の素」と特定の商品名の使用を避けるために使われました。
当時は「化学」という言葉が先進的で良いイメージがありました。
しかし、時代が変わり、化学と言う言葉が公害問題の発生などネガティブなイメージに繋がることで、化学調味料は人工的で危険な物質という印象が強まりました。
これらの背景を踏まえて、1980年代に「うま味調味料」という名称に変更されました(参考文献:「味の素」はなぜ化学調味料と呼ばれることがあるの?|味の素株式会社)。
誤解の背景3:メディアやSNSによる影響
味の素が体に悪いといわれる理由として、メディアやSNSによる影響も原因です。
累計発行部数1億3,500万部という圧倒的な人気を誇る料理マンガの作中で、日本人の味覚が鈍感になったのは「化学調味料」のせいなどと、否定的なエピソードが度々登場します。
この物語は多くの読者に強い印象を残し、「うま味調味料=悪」という認識を広める一因となりました。
他にもSNSを通じて、否定的なエピソードの投稿を繰り返し目にするうちに、心理的に「悪いものなのでは?」と無意識のうちに評価してしまうこともあります。
このような心理的に無意識のうちに刷り込まれてしまうことを、ネガティビティ・バイアス(Negativity Bias)や社会的証明(Social Proof)と言います。
また最近でも人気料理研究家の「味の素」に関する投稿が炎上するなど、味の素はしばしば議論されがちな話題です。
- 人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に強く反応し、記憶に残りやすい傾向を指します。
- たとえば、SNSなどで否定的な投稿を繰り返し目にすると、「悪いものなのでは?」と心理的に評価してしまう現象です。
- ある情報が多くの人に共有され認められていると、人はそれを真実や正しいことと認識しやすくなる心理現象
- メディアやSNS上の否定的なエピソードを繰り返し目にすることで、「それは悪いものだ」という認識が自分の中にも強くなるなどがあげられます。
(参考文献:社会情緒発達におけるネガティブバイアス)
(参考文献:迷った時は群衆に従う?明確な好みがない場合の社会的証明ナッジへの反応)
味の素が体に悪い理由?12のウワサを薬剤師が科学的に徹底検証
味の素が体に悪いというのはあくまでも「ウワサ」。ここでは薬剤師が巷にあふれる12個の味の素が体に悪いというウワサを科学的な視点で徹底検証します。

ウワサ1:味の素のグルタミン酸ナトリウムに発がん性がある?
味の素の原材料であるグルタミン酸ナトリウム(MSG)に、発がん性があるという科学的根拠はありません。
MSGは食品衛生法で規定された安全性試験をすべてクリアしています。
- 国際的な食品添加物の専門機関であるJECFA(国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議)
- 欧州共同体(EC)の食品科学委員会(SCF)
(参考文献:「うま味調味料「味の素®」」に関するご質問|味の素株式会社)。
ウワサ2:味の素は脳に影響する「神経毒」って本当?
過去にSNSで味の素は「神経毒」という情報が拡散されましたが、これも誤情報です。
これは、味の素の主成分であるグルタミン酸ナトリウムが脳内で神経伝達物質として働くため、中毒性や依存性を生じる危険性があるという説です。
しかし、食事から摂取したグルタミン酸ナトリウムが直接脳に影響を与えることは現実的な量ではありません。
過去にマウスを使った実験で脳への影響を検討した研究が行われましたが、高用量の投与や注射によるものであり、通常の食事で摂取する量では問題はないとされています。
- WHOはMSGの一人あたりの安全な1日摂取量を120 mg/kg/day以下と設定。
(体重60㎏とすると7.2㎏までは安全) - MSGの神経毒性は高用量投与で認められた、動物実験では新生児ラットに4 mg/gを皮下注射している。
(経口摂取ではない)
(参考文献:MONOSODIUM GLUTAMATE SAFETY, NEUROTOXICITY AND SOME RECENT STUDIES)
一般的な食事でのMSG摂取はこれらの高用量とは桁違いに低く、通常の摂取量では神経毒性は問題ないとわかります。また、人間の体には血液脳関門があり経口摂取物は血液脳関門で厳密に制御されています。口からの摂取では脳の濃度にはほとんど影響を与えません。
ウワサ3:「覚せい剤の親戚」という話は本当?
「味の素の成分と覚せい剤は構造が似ている」という情報をインターネット上で見かけますが、科学的根拠のないデマです。
味の素の成分であるグルタミン酸ナトリウム(MSG)はアミノ酸の一種であり、たんぱく質を作るもとです。
トマトやチーズ、昆布など私たちが普段口にする食品にも自然に含まれています。
一方で覚せい剤(メタンフェタミン・アンフェタミン)は、中枢神経を刺激し依存性が強いため厳格に規制されています。
MSGと覚せい剤には、化学的にも製品の特性にも関連性は全くありません。
デマに騙されないように注意しましょう。
ウワサ4:味の素の成分が危険?原料が石油?
「味の素は石油から作られている」というウワサを聞いたことがあるかもしれませんが、これは過去の情報が誤って伝わったものです。
現在の味の素の原料は、さとうきびです。
サトウキビから砂糖を絞ったあとの糖蜜に発酵菌を入れて、醤油や味噌などを作る方法と同じ発酵法でグルタミン酸ナトリウムは作られています。
- 50年ほど前に、製品の一部では石油由来の成分を原料として合成されたものもありました。
- 最終的な成分や機能は、合成製品でもさとうきびから作られた味の素と同一であり、安全性も確認されています。
- 現在はさとうきびから作られています。
(参考文献:「味の素®」って石油から作られているの?|味の素株式会社)。
ウワサ5:味の素は遺伝子組み換えの原料を使っている?
味の素はL-グルタミン酸ナトリウムの製造過程において、遺伝子組換え技術により開発された微生物が使われることがあります。
しかし、最終製品には遺伝子組み換え微生物そのものやタンパク質、新たな不純物が検出されないことが確認されています。
製造工程において使用した微生物や副生成物は取り除かれ、高度な精製・結晶化のプロセスを経るためです。
日本の食品安全委員会では、健康への影響について、安全性に問題がないと結論付けています(参考文献:食品安全委員会が評価終了 遺伝子組み換え微生物利用で製造されたL-グルタミン酸ナトリウムなど2品目|バイテク情報普及会)。
ウワサ6:味の素の「アミノ酸等」という表示が危険?
こんな表示を見たことがありませんか?
「アミノ酸以外に入っているものが書かれていないから危険なのでは?」と不安に感じるかもしれません。
しかし、この記載は日本の食品表示法で定められた正式な表記方法です。
- 添加物として用いられる調味料は、アミノ酸、核酸、有機酸、無機塩の4グループがあり、2種以上を使用する場合は、「調味料(アミノ酸等)」と記載することが義務付けられています。
- この表記がある場合は、主としてアミノ酸から構成され、他に核酸、有機酸、無機塩いずれか1種類以上を含んでいるということを表しています。
(参考文献:食品衛生の窓|東京都保健医療局)。
ウワサ7:味の素はアメリカなど海外では禁止?
「海外では禁止されているから危険」という話もよく聞かれますが、これも事実無根です。
「味の素」の主成分であるグルタミン酸ナトリウム(MSG)は、世界中で安全性が認められ、広く使用されています。
- アメリカでは、食品医薬品局(FDA)がMSGを「一般的に安全と認められる」GRAS(Generally Recognized As Safe)」に分類。
- EUでもグルタミン酸一ナトリウムとして食品への使用が認可。
(参考文献:Questions and Answers on Monosodium glutamate (MSG)|FDA)。
(参考文献:EUの食品添加物データベース|農林水産省)。
ウワサ8:味の素の社員は使わないって本当?
「味の素の社員は味の素を使わない」というウワサもあるようですが、こちらもウワサの一人歩きの印象を受けます。
味の素株式会社の社員インタビューなどを見ると、自社製品への自信と誇りが伝わってきます(参考文献:社員インタビュー|味の素株式会社)。
また、本社には栄養バランスの取れた食事が提供される社員食堂があり、そこでは味の素の調味料も使えるようになっています(参考文献:味の素社の社員食堂に潜入!|味の素株式会社)。
ウワサ9:味の素を摂りすぎるとどうなる?過剰摂取のリスクは?
どんな食品でも摂りすぎは良くないですが、合同食品添加物専門家会議(JECFA)ではグルタミン酸ナトリウム(MSG)の安全性について、「MSGがヒトの健康を害することはないので、一日の許容摂取量を特定しない」と結論付けています。
なおFDAによると、一部の過敏な人が食事なしで3g以上という多くの量を摂取した場合に、頭痛やしびれなどの一過性で軽度な症状が出ることがあると報告されています。
しかし、一般的な料理では一食あたりに使われるMSGは0.5g未満であるため、このような状況は現実的ではありません(参考文献:Questions and Answers on Monosodium glutamate (MSG)|FDA)。
ウワサ10:味の素で味覚がおかしくなる・味覚障害になる?
「味の素で味覚障害になる」というウワサも科学的根拠はありません。
グルタミン酸ナトリウム(MSG)は、一般的なアミノ酸であるグルタミン酸にナトリウムが付いたもので、トマトやチーズなどの多くの食品に自然に含まれています。
また、製品に含まれるグルタミン酸と食品中に含まれるグルタミン酸は科学的に区別がつきません。
- 平均的な成人は、食品由来のグルタミン酸を毎日約13g消費しています。
- 一般的な料理では一食あたりのMSGは0.5g未満であるため通常の使用では問題ありません。
(参考文献:Questions and Answers on Monosodium glutamate (MSG)|FDA)。
ウワサ11:味の素は赤ちゃんや妊婦が食べても大丈夫?
味の素は赤ちゃんや妊婦が食べても問題ありません。
赤ちゃんや妊婦の場合は特に食の安全に気を使いますが、公式サイトでも「母体はもちろん胎児や乳幼児にも安全であることが確認されています。」と明記されています(参考文献:Q\&A 妊婦や乳幼児にも安心に使うことができますか?|味の素株式会社)。
味の素に含まれるグルタミン酸は母乳にも豊富に含まれています。
ウワサ12:味の素はアレルギーの原因になる?
味の素にアレルギー物質は含まれていません(参考文献:うま味調味料「味の素®」「アジパンダ®」瓶70g|味の素)。
また、グルタミン酸ナトリウム(MSG)は日本でアレルギー表示が義務付けられている「特定原材料」に含まれていません。味の素がアレルギーの原因になる可能性は低いと考えられます。
もし味の素でアレルギー反応を感じたことがある場合は、他の要因を疑うべきといえます。
豪州・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は、一部の人で、一回の食事で大量のMSGを摂取すると、過敏症反応を起こす恐れはあるものの、深刻な影響を引き起こすという科学的根拠はないと説明しています
(参考文献:食品安全関係情報詳細|食品安全委員会)。
味の素は「科学的に安全」と言われても、なぜ不安になるのか?

WHOやFDAといった国際機関が「味の素」の安全性を認め、12の具体的なウワサが科学的根拠に乏しいことを解説しました。
しかし、それでもなお「なんとなく怖い」、「できれば避けたい」という感情が、心のどこかに残っていないでしょうか。特に、大切なお子様やご家族の口に入るものとなれば、なおさらです。
なぜ私たちの心は、科学的な「事実」と「感情」の間で揺れ動くのか。その正体は、主に3つの心理的な要因にあります。
1. 「化学調味料」という言葉が持つ強力なイメージ
私たちの不安の根底には、まず「化学調味料」という言葉の強力なイメージがあります 。この言葉が生まれた背景は「誤解の背景」の章で解説しましたが、現代の私たちにとって「化学」という言葉は、「人工的」「不自然」「公害」といったネガティブなイメージと結びつきやすいです。
2.「無添加」マーケティングによる無意識の刷り込み
スーパーマーケットに並ぶ「無添加」「化学調味料不使用」という表示が、その不安を無意識のうちに強化します。消費者庁の調査でも、5割の消費者が無添加を選択し、そのうちの7割は「無添加」と書かれていると「安全で健康的だ」と誤認してしまう消費者心理が指摘されています(参考文献:食品添加物表示に関する検討会報告書)。
「『使わない』ことをアピールする商品が多いということは、『使う』ことは良くないことなのだ」というすり込みが、日々行われているのと同じです。
3. 「危険」という情報の方が強く記憶に残る脳の仕組み
心理学でいう「ネガティビティ・バイアス」にも似ています。人間の脳は、「安全である」という100のポジティブな情報よりも、「危険かもしれない」という1つのネガティブな情報を強く記憶し、優先するようにできています。これは、危険を回避するための大切な生存本能です。
SNSで目にした「覚せい剤の親戚」 、「味の素は体に悪い」といった衝撃的なデマが、WHOのような国際的な専門機関の安全報告書よりも強く心に残ってしまいます。
4. 健康不安とは別の「罪悪感」というブレーキ
健康への不安とは別に、『手抜き=愛情不足』と感じてしまう方もいます。
「手間をかけてだしを取ること=愛情」という価値観の中で、「味の素」を使うことは、その愛情をショートカットしているように感じてしまう。この心理的なブレーキこそが、科学的なデータを素直に受け入れにくくしている大きな原因です。
このように、私たちの不安は、事実(ファクト)とは異なる、言葉のイメージ、社会環境、そして心理的な要因が複雑に絡み合って形成されています。
この記事で12のウワサを一つずつ検証してきたのは、この「なんとなく怖い」という感情に科学的な視点で正しい知識を得るためです。
「手抜き」の罪悪感と「栄養バランス」の不安を解消!味の素との賢い付き合い方
「味の素」を使うことに罪悪感を抱く必要はまったくありません。本当の論点は、調味料の有無ではなく、最終的なお皿の上に「バランスの良い栄養があるか」です。「味の素」は、減塩効果や時短というメリットがあり、忙しい現代人の心強い味方です。
味の素のメリット!「減塩」という健康への貢献

グルタミン酸ナトリウムに含まれるナトリウム量は食塩の約1/3です。
うま味調味料を上手に活用すれば、減塩料理でも物足りなさを感じることなくおいしく食べられるという報告があります(参考文献:うま味調味料ってなんだろう?|日本うま味調味料協会)。
塩分を控えたい方にとっては、減塩のメリットは大きいでしょう。
「手抜き」ではなく「時短で賢い選択」。罪悪感を自信に変える考え方
何かと忙しい現代人にとって、すべてを手作りするのは大変です。
味の素を上手に使えば、限られた時間の中でおいしい料理が作れます。
時間に余裕ができ、家族とのふれあいなど大切な時間にあてることができます。
味の素を使うことが「時短で賢い選択」となり、「手抜き」したという罪悪感が「おいしい料理が短時間で作れた」と自信に変わります。
「ほんだし」や「鶏ガラスープの素」も危険?味の素以外の調味料の安全性
ほんだしも鶏ガラスープの素も安全!ポイントは「調味料(アミノ酸等)」
「味の素」の安全性が科学的に理解できても、他の調味料はどうなのか気になるでしょう。
特に「ほんだし」や「鶏ガラスープの素」といった、いわゆる「風味調味料」や「だし入り調味料」についても「体に悪いのでは?」という意見があります。
結論としては、これらの製品も、適切に使用する範囲において健康への悪影響を心配する必要はありません。
「味の素」がグルタミン酸ナトリウムという「うま味」そのものであるのに対し、「ほんだし」や「鶏ガラスープの素」は、塩、砂糖、そして「だし」の風味(かつお節や鶏のエキスなど)を主原料とした「複合調味料」です。
これらの製品の原材料表示を見ると、多くの場合「調味料(アミノ酸等)」という表記があります。
ウワサ6でも解説したように、「アミノ酸等」こそ、「グルタミン酸ナトリウム(味の素の主成分)」や、かつお節に含まれる「イノシン酸」、しいたけに含まれる「グアニル酸」など、安全性が確認された「うま味」成分のことです。
主な風味は「かつお節の粉末やエキス」です。それに「調味料(アミノ酸等)」を加えることで、だし本来のうま味を安定させ、補強しています。
主な風味は「チキンエキス」です。それに「調味料(アミノ酸等)」を加え、スープのうま味とコクを深めています。
ほんだしも鶏ガラスープの素も「危険な何か」を隠しているわけではなく、「塩・砂糖・風味原料(鶏や鰹)・うま味成分(アミノ酸等)」をバランスよく配合した製品です。
安全性を気にする上で本当に注意が必要なのは「塩分」
健康観点からのアドバイスとしては、「アミノ酸」よりも「食塩相当量(ナトリウム)」に注意が必要です。
ほんだしや鶏ガラスープの素のような複合調味料は、味が完成されている分、食塩の含有量が比較的多い傾向にあります。
「ほんだし」や「鶏ガラスープの素」は、それ自体が体に悪いわけでは決してありません。しかし、これらを便利に使うあまり、気づかぬうちに塩分(ナトリウム)の総摂取量が過剰になってしまう。それこそが、高血圧などの生活習慣病のリスクとして、本当に気をつけるべき点です。
日本人はそもそも塩分を取りすぎる傾向にあります。
成人の1日あたりの平均食塩摂取量は・・
- 男性で約10.7g
- 女性で約9.1g
(参考文献:栄養摂取状況調査の結果)
食塩の1日あたりの目標摂取量は・・
- 成人男性で7.5g未満
- 成人女性で6.5g未満
(参考文献:日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント)
日本人の食事摂取基準(2025年版)は高血圧予防など健康リスク軽減を目的として策定されていますが、実際の栄養調査では、男女ともに1日の摂取量が3g程度オーバーしているのがわかります。
「添加物だから危険」と考えるのではなく、「塩分を摂りすぎないように、上手に活用しよう」という視点を持つことが、賢い調味料との付き合い方と言えるでしょう。
味の素が体に悪いに関するよくある質問(Q&A)
Q1. 「ハイミー」も味の素と同じですか?体に悪いのでしょうか?
A1.
「ハイミー」と「味の素」は主成分が同じグルタミン酸ナトリウムであり、どちらも科学的に安全性が確認されていますので、体に悪いということはありません。ただし、成分の構成が少し異なります。
「味の素」がグルタミン酸ナトリウムを主成分とするのに対し、「ハイミー」はそれに加えて、かつお節のうま味成分である「イノシン酸ナトリウム」としいたけのうま味成分である「グアニル酸ナトリウム」を配合した、より複合的なうま味調味料です。
料理に深みやコクを与えたい場合に適しており、いわば「うま味の合わせだし」のような役割を果たします。どちらも適切に使用すれば、料理をより豊かにしてくれる安全な調味料です。
Q2. 塩と混ざっている「アジシオ」も安全ですか?
A2.
はい、「アジシオ」も安全な製品です。「アジシオ」は、食塩に「味の素」をコーティングしたもので、塩味とうま味を一度に加えることができる便利な調味塩です。
主成分は食塩とグルタミン酸ナトリウムであり、これまでに解説してきた通り、どちらも安全性が確認されています。塩と「味の素」を別々に振る手間が省けるため、ゆで卵や天ぷら、おにぎりなどに手軽に使えます。
ただし、食塩が主成分ですので、ナトリウムの摂りすぎには注意が必要です。減塩を心がけている方は、使用量にご注意ください。
Q3. もし味の素を使わない場合、代わりになるものはありますか?
A3.
うま味成分は様々な食品に含まれており、それらを活用することで料理に深みを出すことができます。
もし「味の素」を使わずにうま味を加えたい場合は、以下のような食材や調味料が代わりになります。
- 昆布だし: グルタミン酸が豊富です。
- かつお節: イノシン酸が豊富です。
- 干ししいたけ: グアニル酸が豊富です。
- トマト、チーズ、味噌など: これらもグルタミン酸を多く含んでいます。
- data-rich-text-format-boundary=”true”>昆布茶: 手軽にグルタミン酸のうま味を加えられます。
- だしパック: 昆布やかつお節などが粉末状になっており、手軽に本格的なだしが取れます。
- 塩麹: 発酵の力で生まれたうま味と塩味を同時に加えられます。
これらの選択肢を知ることで、ご自身のライフスタイルや料理に合わせて、うま味を上手に取り入れていくことができます。
まとめ:味の素は体に悪くない!正しい知識で情報をアップデートしよう
味の素は体に悪いというのは完全な誤解です。
主成分であるグルタミン酸ナトリウムの安全性は、国際的な専門機関によって証明されています。
グルタミン酸ナトリウムはトマトやチーズなどに含まれる、うま味のもととなるアミノ酸です。
不確かな情報に左右されず、正しい知識をもとに判断することが重要です。
味の素を上手に取り入れることで減塩や時短に繋がり、家族とのだんらんの時間を有意義に過ごせます。
自信をもっておいしい食事を楽しんでください。

この記事では「味の素」が体に悪いというウワサについて、科学的根拠に基づき解説しました。主成分の安全性は国際的にも認められています。過去の経緯から誤解されがちですが、減塩や時短に役立つ点は大きなメリットです。もちろん、これに頼りすぎずバランスの取れた食事が基本です。正しい知識を持ち、罪悪感なく日々の料理に賢く活用していきましょう。 【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム(薬剤師在籍)
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム(薬剤師在籍)
関連記事
-
-
男性にとってソイプロテインは危険?体重別イソフラボン上限早見表
「ソイプロテインは男性に危険」そんな噂を耳にして、トレーニングや健康管理のために飲むのをためらっていませんか? 原料の大豆に含まれるイソフラボンが女性ホルモンに似ているため、テストステロン低下や体に女 …
-
-
玄米が肝臓に悪いと言われる理由5選!食べ続けた結果どうなるのか徹底解説
結論から言うと、玄米は下処理と食べ方さえ誤らなければ肝臓を傷つけるどころか、脂肪肝の改善を後押しする可能性が複数の研究で示されています。(参考文献: 「玄米」で脂肪肝や肥満を予防・改善 脂質代謝を改善 …
-
-
【2025年最新】海外製のおすすめホワイトニング歯磨き粉ランキング!オーラルケアで美しく白い歯へ
毎日のオーラルケアに欠かせない歯磨き粉ですが、みなさんはどのようにして選んでいるでしょうか? 歯磨き粉はホワイトニング*や虫歯予防、知覚過敏ケア、口臭ケアなど、さまざまな目的に合った製品があります。特 …
-
-
【薬剤師執筆】マグネシウムサプリの選び方
こんにちは。先週は骨格筋のバグであるけいれんとして起こる「眼瞼ミオキミア」や「こむら返り」がマグネシウムで治った話をしました。今回はそんなマグネシウムについて、日本人の現状や食事での補い方、またサプリ …
-
-
【2025年最新】ウィダーインゼリーが体に悪いと言われる理由5選!風邪の時にはどのタイプが良いか徹底解説
結論から言えば、ウィダーインゼリーのようなゼリー飲料はは忙しい時のカロリー源として便利ですが、主食代わりに置き換え続けると糖質過多による血糖値スパイク、たんぱく質・食物繊維不足、酸性度と添加物による歯 …