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【薬剤師執筆】マグネシウムサプリの選び方

      2024/07/09

こんにちは。先週は骨格筋のバグであるけいれんとして起こる「眼瞼ミオキミア」や「こむら返り」がマグネシウムで治った話をしました。今回はそんなマグネシウムについて、日本人の現状や食事での補い方、またサプリの選び方まで広く解説したいと思います。

当コラムに関するご注意点

日本人はマグネシウム不足?

5大栄養素の一つであるミネラルは、体内で合成ができないため食事等で摂取する必要があります。マグネシウムは、ミネラルの中でも必要摂取量の多い「多量ミネラル」に分類されており、体内では300を超える酵素としてのはたらきを担う非常に重要な栄養素です。ところが、日本人はマグネシウムの摂取量が不足傾向にあります。

マグネシウム摂取状況(男性)グラフ
「国民栄養・健康調査」と「日本人の食事摂取基準」(厚労省)から作成
マグネシウム摂取状況(女性)グラフ
「国民栄養・健康調査」と「日本人の食事摂取基準」(厚労省)から作成

グラフを見ても分かるように、20~59歳までの全年代で、男女ともにマグネシウムの摂取量は推奨量を下回っており、年代によっては充足率は70%を切っています
日本人がマグネシウム不足に陥る原因は、食事からのマグネシウム摂取不足と、食塩の摂り過ぎによるマグネシウムの排泄過剰の2つがあると考えられています。

まずは食事から見直そう

現代の日本人がマグネシウム不足に陥りがちな要因として食事の欧米化が指摘されていますが、具体的には海藻、魚介、豆、精製していない穀類などを食べる機会が減っているのが理由です。
和食で活用されることの多いこういった食材にマグネシウムは豊富に含まれているため、意識して選ぶと良さそうです。

マグネシウム高含有食材(魚、豆、海藻、玄米)

もう一つ気を付けたいのが、食塩の摂り過ぎです。体内でナトリウムが過剰状態になると、それを排泄しようとしてマグネシウムも一緒に排泄されてしまうからです。
厚労省が定める1日の食塩の推奨量は、健康な男性で7.5g、健康な女性で6.5g未満ですが、実際は男女ともに3g前後オーバーしている状況です。塩分を控えることは、体内のマグネシウムバランスを保つ面でも大切ですね。

食塩の摂り過ぎ以外に、アルコールの摂り過ぎ、利尿剤の服用、ストレスなどがマグネシウムの排泄増加に関わっています。
またマグネシウムとカルシウムには密接な関係があり、体内ではMg:Ca=1:2のバランスが理想的といわれています。カルシウムを摂り過ぎるとマグネシウムの吸収が悪くなり不足に陥ることもあるため注意が必要です。

マグネシウムをサプリから摂るポイント

これまでに挙げたような食事での工夫と並行して、マグネシウムをサプリメントで摂取する場合のポイントについて解説したいと思います。

吸収がいいのは有機塩タイプ

マグネシウムサプリメントは、酸化マグネシウムやグルコン酸マグネシウムなど、さまざまな化合物として製品化されています。成分によって体内での吸収の良さに違いがあるといわれており、一般的にはアミノ酸キレートのような有機塩タイプの方が、無機塩タイプよりも吸収されやすいとされています。

有機塩タイプアスパラギン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウムなど
無機塩タイプ酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムなど

ちなみに食事由来のマグネシウムでも吸収率は約30~60%であり、摂取したマグネシウムが全て体内で利用される訳ではありません。

食事以外からの摂取量は350mg/日以内

マグネシウムは食事のみからの摂取で過剰になることはないと考えられています。サプリメントや薬など、食事以外でマグネシウムを摂る場合の上限量(耐容上限量)は、成人の場合 350mg/日以内 にすることが推奨されています。

摂り過ぎたらどうなる?

マグネシウムの摂取過剰によって起こりうるのは、下痢や軟便です。マグネシウムを摂りすぎると、過剰分は腸から吸収されずに便と一緒に排泄されたり、もし吸収しすぎても尿として排泄されたりします。この恒常性により排泄されたマグネシウムが、下痢や軟便を引き起こすのです。実際に酸化マグネシウムを有効成分とする便秘薬は、この仕組みによって便秘を改善します。

すなわちマグネシウムの過剰摂取は、健康な人であれば下痢以外の悪影響はさほど心配ありません。ただし腎機能に問題がある人は、マグネシウムの調節が上手くできず高マグネシウム血症になる可能性があるため、必ず主治医の指示に従いましょう。

飲み合わせとして気をつけること

マグネシウムは、制酸剤や便秘薬などの医薬品にも含まれています。また利尿剤や胃酸を抑える薬の中には、マグネシウムの吸収を妨げるものがあります。逆に、一部の抗生物質や骨粗しょう症治療薬などは、マグネシウムによって吸収が妨げられてしまい、薬効に影響を及ぼすことがあります。
何らかの薬を服用している人は、マグネシウムサプリメントを飲む前にこのような飲み合わせのリスクについて、医師や薬剤師に相談しましょう。

服薬指導をする薬剤師

おわりに|正しく知ってマグネシウム不足を克服しよう

いかがでしたか?今回は日本人が不足しがちな必須ミネラルのマグネシウムについてのお話でした。詳しい解説はまたいつかしたいと思いますが、慢性的なマグネシウム不足は、高血圧、心血管疾患、2型糖尿病、骨粗しょう症、片頭痛などのさまざまな病気との関連が指摘されています。また身近な現象としては、冒頭にも述べたように「こむら返り」などの筋肉のけいれんにもつながっています。


最近は飲むサプリメント以外にも、マグネシウムを豊富に含んだバスソルトやオイルなど、経皮吸収ができる製品も充実しています。ぜひこの機会に、マグネシウムの重要性について知ってもらえたら嬉しいです。

参考情報

日本人の食事摂取基準(2020年版)

令和元年国民健康・栄養調査報告

マグネシウム|厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』

マグネシウム|「健康食品」の安全性・有効性情報

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