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コンジローマは間違えやすい!性器のイボが性病とは限らない理由も解説

   

性器やお尻の周りに見慣れない「イボ」や「ブツブツ」を見つけて、「もしかして性病?」「どこでうつったんだろう?」などと不安を感じたことはありませんか。
性器にできるイボは尖圭コンジローマが疑われがちですが、イボの多くは無害で、性病とは無関係なものも少なくありません。
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します(参考文献:尖圭コンジローマ|厚生労働省)。
この記事では尖圭コンジローマと間違えやすい病気や、その見分け方を紹介します。

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目次

【結論】コンジローマは間違えやすい!イボは「無害なもの」がほとんどです

性器に見られるイボのうち、実際に尖圭コンジローマである症例はごく一部です。
厚生労働省の報告によると、令和5年の尖圭コンジローマ患者数は男女合わせて6,621人と日本の人口のおよそ0.005%程度です(参考文献:性感染症報告数|厚生労働省)。

コンジローマと間違えやすい良性イボ一覧

コンジローマと間違えやすい4つのイボ
  • 真珠様陰茎小丘疹
  • 包皮腺(タイソン腺)
  • フォアダイス
  • 腟前庭乳頭腫
生理現象です
初めて聞く名前も多いと思いますが、これらはいずれも皮膚や脂肪組織の一部が目立つ形になったもので、ウイルスとは関係ありません。

これらは「生理現象」に分類される良性のイボなので、治療は不要です。

コンジローマ vs コンジローマじゃないイボの決定的な見分け方

項目 コンジローマ(尖圭コンジローマ) 良性のイボ
形状 デコボコした表面
小さなカリフラワーやニワトリのトサカのように見える
多数のイボが集まることもある
粒状
白いブツブツが多い
大きさは均一のものが多い
分布 ランダムに増える 規則的に並ぶ
先端が赤黒い、ピンクまたは灰色 、肌の色と同色が多い
経過 増殖する 変化なし
症状 多くは症状なし
焼けるような痛み、痒み、不快感が出る人もいる
なし
感染性 あり なし

(参考文献:ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症)|MSDマニュアル

コンジローマと間違えやすい「無害な(性病ではない)」イボ

コンジローマと間違えやすいものとして、代表的なイボを紹介します。
これらは、無害なもので、性病ではありません。

1. 真珠様陰茎小丘疹(男性・亀頭)

🟢 真珠様陰茎小丘疹
(しんじゅよういんけいしょうきゅうしん)
  • カリ首(冠状溝)に沿って規則正しく並ぶ
  • 直径1~2mm程度の小さな粒
  • 真珠のような光沢で、大きさは均一
血管や繊維化した皮膚がむき出しになったもので、生理現象に分類されます。
男性の10%に生じるとされ、無害でよくみられる良性の腫瘍です。
治療は必要ありません
参考文献:陰茎を侵す皮膚の異常|MSDマニュアル

2. 包皮腺(タイソン腺)(男性・裏筋)

🟡 包皮腺(タイソン腺)
  • 陰茎の裏側、亀頭と包皮をつなぐ「裏筋(包皮小帯)」の左右
  • 1つ~数個ずつ見られる小さなポツポツとした突起
  • 皮脂腺の一種(生理現象)
💡 よくある誤解 性風俗店で性病を指摘され、不安になって受診したところ、包皮腺と診断され安心したという実例もあります。
病気だと思われがちですが、これらは生理現象に分類され、病気ではありません。
治療は不要です

3.フォアダイス(男女・陰茎や小陰唇)

フォアダイス
  • 部位(男):陰茎部(サオ)の皮膚や包皮
  • 部位(女):膣や小陰唇
  • 白や黄色い小さなポツポツ(皮脂腺が透けて見える)
皮脂腺が毛穴のないところにでき、皮脂が排出されず皮下でかたまりとなったものです。多くの人に見られます。
こちらもウイルスとは関係がなく、生理現象に分類されます。
🔍 コンジローマとの見分け方
× コンジローマ: 表面に凹凸がある、カリフラワー状
○ フォアダイス: あくまで「皮膚の下にある粒」の状態
治療は不要です

4. 腟前庭乳頭腫(女性・膣口)

出典:”Fordyce’s Spots on Vulva” by DermaTech99 is marked with CC0 1.0
🌸 腟前庭乳頭腫
(ちつぜんていにゅうとうしゅ)
女性において、最もコンジローマと間違われやすいのがこの症状です。
  • 膣の入り口や小陰唇の内側にできる
  • 1~2mm程度の小さな粘膜の突起
  • 正常な構造の一部(生理現象)
🔍 コンジローマとの見分け方
並び方 ○ 左右対称
× ランダムに発症
変化 ○ 生理周期で増減する
× 勝手に減ることはない
治療は不要です

コンジローマと間違えやすい「他の病気」

イボ以外にもコンジローマと間違えやすい病気はいくつかあります。
中でも注意が必要な3つの病気を紹介します。

1. 扁平コンジローマ(梅毒)

出典:”Vaginal syphilis” by CDC/Robert Sumpter is marked with Public Domain Mark 1.0
⚠️ 扁平コンジローマ
注意!これは「梅毒」です
名前は似ていますが、これは「梅毒」による症状であり、感染性の高い病気です。
梅毒に感染してから約3ヶ月後の、第2期梅毒に現れる症状です。
🔍 尖圭コンジローマとの違い
  • 見た目の特徴 「平たく」台地状に盛り上がる
    (尖圭は表面が凸凹)
  • 原因 梅毒トレポネーマ(細菌)
    (尖圭はHPVウイルス)
  • 治療法 全く異なる治療が必要
参考文献:梅毒|MSDマニュアル

2. 性器ヘルペス

Genital herpes” by Mikael Häggström is marked with CC0 1.0
🔥 性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV)
イボではなく「液体で満ちた水疱(水ぶくれ)」「ただれ」が大きな特徴です。
非常に感染力が高く、チクチク・ピリピリとした痛みや不快感を伴うことが多くあります。
🔍 尖圭コンジローマとの違い
  • 自覚症状 痛みや不快感がある
    (尖圭はほとんど無症状)
  • 見た目 水疱・ただれ
    (尖圭はイボ状)
⚠️ 完治させる薬剤は現時点ではありません
参考文献:性器ヘルペス|MSDマニュアル

3. 毛包炎(毛嚢炎)

Isolated folliculitis” by Jmarchn is licensed under CC BY-SA 3.0
🔴 毛包炎
(もうほうえん)
💡 性病ではありません 陰部にできると不安になりますが、デリケートゾーンのムレや不衛生などが原因で起こる一般的な皮膚疾患です。

毛髪が生えている部分(毛穴)に起きる炎症で、ブドウ球菌などの細菌に感染して起こる「ニキビ」のようなものです。

  • 毛の根元にできる
  • 赤色か白色の小さな吹き出物のような見た目
参考文献:毛包炎と皮膚膿瘍|MSDマニュアル

コンジローマは間違えやすい!よくある5つの不安に科学的に回答

性器に発疹などを見つけると、不安を感じるものです。
この章ではよくある不安に対して、科学的根拠に基づいて解説していきます。

不安①パートナーや他人から「性病では?」と指摘されて不安

不安の正体:素人の指摘に惑わされないために
  • 医学的な診断能力を持たない一般の人が、正常な皮膚症状(真珠様陰茎小丘疹、フォアダイスなど)を見て正確な判断をすることはできません。
  • そもそも、皮膚科疾患の見分け方は非常に難しく、ただの湿疹なのかマラセチア毛包炎なのかなど、専門家でなければ見分けることは困難です。
  • パートナーや友人などからの指摘は、科学的根拠のない不安の増幅につながるだけです。

不安を感じた場合は、自己判断せず医師の診察を受けましょう

不安②無害なイボ(フォアダイス、真珠様小丘疹)は人にうつらない

科学的根拠:パートナーにうつるリスクはゼロです
  • 生理現象が原因
    これらの無害なイボは、ウイルスや細菌といった病原体によるものではありません。
  • 皮膚の組織が変化しただけ
    身体を構成する皮膚や脂肪組織の一部が、たまたま目立つ形になっているだけの「正常な皮膚組織」です。
  • 感染経路は存在しない
    病原体が原因ではないため、性行為、キス、タオルの共用など、いかなる経路でもパートナーや家族にうつることはありません。
よって、感染のリスクは全くありませんのでご安心ください。

不安③コンジローマが増えるスピード!数週間〜数ヶ月で増殖・拡大

増殖速度で判別:イボの経過観察の重要性
🔴 尖圭コンジローマの増殖

HPVが細胞分裂を異常に活発化させるため、放置すると…

  • 数週間から数ヶ月という短い期間で変化する
  • イボの数が明らかに増える、範囲が広がる
  • 小さなイボ同士がくっついて巨大化する

🟢 ウイルスの可能性が低い場合

  • 1年近く同じ場所にあって、大きさや数に変化がない
このような場合は、ウイルスの可能性はとても低く、良性のイボである可能性が高いです。

不安④コンジローマは再発リスクあり!一生治らないわけではない

コンジローマの再発リスクと免疫力によるウイルス根絶
  • 統計的な事実:
    コンジローマの治療後3ヶ月以内の再発率は約25%と報告されており、再発のリスクはあります。
  • 治療の見通し:
    ウイルスは免疫力を高めることで根絶できるため、コンジローマは一生治らないわけではありません。
  • 必要な行動:
    コンジローマの再発を繰り返しても諦めずに治療を継続しながら、規則正しい生活で免疫力を高めていくことが重要です。

ウイルスは徐々に排除、あるいは活動を停止します。
治療の継続免疫力向上コンジローマ完治の鍵です。

(参考文献:臨床泌尿器科 78巻4号 P.45-47)。

不安⑤コンジローマはがん化リスクは低いが同時感染に注意

HPVの型と悪性化リスク

HPVには200以上の種類がありますが、尖圭コンジローマの原因となるHPVは主に6型と11型です。
これ自体が陰茎がんや子宮頸がんなどの悪性腫瘍に発展する可能性は低いとされています。

他の性感染症に注意が必要です

コンジローマに感染しているということは、性行為を通じて他にも病原体を取り込んでいる可能性を意味します。
他の性感染症(STD)にかかっている可能性も考えられるので注意が必要です。

  • HIV
  • 梅毒
  • クラミジア
  • その他

(参考文献:性感染症診断・治療ガイドライン2020

「心当たりがない」のにコンジローマに感染するのはなぜ?

感染の心当たりがないという人も多くいます。
ここではそのような場合に考えられる原因を2つ紹介します。

性行為が感染経路!稀な例で皮膚や粘膜の傷口から感染

コンジローマの原因ウイルスであるHPVは、基本的には性行為による接触感染です。
しかし、稀に皮膚や粘膜にできた目に見えない微細な傷口から侵入し、皮膚の基底細胞に感染することがあります(参考文献:性感染症診断・治療ガイドライン2020)。
とても少ない量のHPVが体に潜んでいて、検査しても見つからない状態が多いため、感染機会の特定が難しく、「心当たりがないのに感染した」という状況を引き起こします。

潜伏期間が長い!数ヶ月〜数年前の感染の可能性

尖圭コンジローマの潜伏期間は、一般的に3週~8か月(平均2.8か月)といわれています(参考文献:臨床泌尿器科 78巻4号 P.45-47)。
しかし、個人差が大きく、長いものでは数年前の感染がストレスなどの免疫低下に伴い、発症することもあります。
そのため、ウイルスを保有していても無症状であれば、知らないうちにパートナーにうつしている可能性もゼロではありません。
これが感染源の特定が困難と言われる一因です。

コンジローマは間違えやすいので受診はマスト!病院での診断と検査の流れ

自己判断で放置したり、市販薬で誤った処置をしたりすると症状を悪化させる恐れがあります。
場合によっては、診断に影響する可能性もあるため、おかしいと感じたら受診しましょう。

まずは泌尿器科・皮膚科・婦人科を受診

コンジローマと間違えやすい病気について紹介しましたが、判別が難しい場合は皮膚科・泌尿器科・婦人科を受診しましょう。
最近ではプライバシーに配慮した医療機関も増えています。
医師にとっては数多く診ている性器疾患の一つであり、恥ずかしがる必要はありません。
また、「ただのイボかもしれないのに受診してもいのか?」と遠慮も不要です。
異常を放置せず、早めの受診をおすすめします。

多くは視診で判別がつく

経験豊富な医師であれば、見ただけである程度の診断がつきます。
イボの形状や表面の質感、色、分布などの観察により判別します。
特に子宮頸がんの判別には、検査する部位に酢の一種を塗布し、イボを見えやすく処理したのち、拡大鏡(コルポスコピー)を用いて患部を拡大し、特有の血管パターンや構造を確認します(参考文献:ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症)|MSDマニュアル)。

必要に応じて病理検査

診断が難しい場合や、他の病気との区別がつかない場合、患部が出血したりただれたり、治療が長引く場合などは病理検査を行います。
視診だけでは尖圭コンジローマとの区別が難しい場合や、悪性腫瘍の可能性を否定できない場合などは、イボの一部を採取し、顕微鏡で細胞の状態を調べます(参考文献:ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症)|MSDマニュアル)。

「コンジローマは間違えやすい」に関するよくある質問(Q&A)

Q1.コンジローマはどのくらいのスピードで増えますか?

A1.
ウイルスの活動性や個人の免疫状態にもよりますが、一般的には数週間から数ヶ月単位で変化します。
「もしかしたら何かできているかな?」程度の小さな突起が徐々に増え、気が付くとカリフラワーのように集まって大きくなっていたということも珍しくありません。
早期発見・早期治療が重要です。

Q2.コンジローマの完治にはどのぐらいかかりますか?

A2.
正常な免疫系の人であれば、半数は8か月程度で感染は治まるとされている一方で、10%未満の人は感染が2年以上続くケースも見られます。
治療は、外用薬(イミキモドクリームなど)による治療がメインです。
外用薬で効果が見られない場合、外科的療法(電気メスによる焼灼、レーザー蒸散など)や液体窒素による凍結が行われます。

Q3.コンジローマは免疫力を下げますか?

A3.
尖圭コンジローマそれ自体が免疫力を下げるわけではありません。
体が弱って免疫力が低下することで、コンジローマが発症するというのが正しい認識です。
HPV自体は、皮膚や粘膜の表面に留まるウイルスです。
過度な疲労や睡眠不足、風邪、強い精神的ストレスなどによって全身の免疫力が低下すると、普段は免疫によって抑え込まれていたHPVが威力を増し、イボを作り出してしまいます。
治療中は、規則正しい生活、十分な睡眠、禁煙などを心がけ、免疫を高めることが重要です。

まとめ:コンジローマは間違えやすい!正しい知識で不安を解消しましょう

性器にできるイボには、尖圭コンジローマと間違えやすい、生理現象に分類される良性のものも多数あります。
「規則正しく並んでいる」「形や大きさが揃っている」「昔から変化がない」イボは良性の可能性が高い一方で、
「不規則に散らばっている」「カリフラワー状やトサカ状」「数週間で増えた・大きくなった」イボは尖圭コンジローマの疑いがあります。
また、「水ぶくれやただれがある」「強い痛みがある」場合は、 ヘルペスなど他のウイルス疾患の可能性があります。
これらはあくまで目安であり、自己判断は禁物です。
不安を感じたら専門医を受診して、正しい知識をもって、不安のない生活を送りましょう。

監修者コメント
監修者の写真

性器のイボは尖圭コンジローマが疑われがちですが、真珠様陰茎小丘疹など無害な生理現象による良性のブツブツである場合が多数です。記事では、良性イボの均一で規則的な形状に対し、コンジローマはカリフラワー状で不規則に増殖するという見分け方を解説しています。自己判断で不安を抱え込まず、イボの形状や経過を観察し、他の性感染症のリスクにも留意しながら、専門医の診察を速やかに受けることが何よりも大切です。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム(薬剤師在籍)

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