最近SNSなどで話題になっている「プラスチック米」の情報を見て、普段食べている米がプラスチック米ではないかと気になっている方もいるのではないでしょうか。
日本では、古米を新米のようにおいしく見せるために、“精米改良剤”が添加された米のことをいいます。精米改良剤の成分であるプロピレングリコールなどは、食品衛生法に基づいた添加物であり、それ自体の使用は禁止されていません。
ただし、精米改良剤を使用した米やこれを原料として使用した食品については、使用した食品添加物の表示が必要とされています(参考文献:「精米改良剤」と称した食品添加物を使用した米の表示について|厚生労働省)。
この記事では精米改良剤が使われた米の特徴や見分け方、安全性について解説します。家族の安全を守るための正しい知識を身につけましょう。
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目次
【結論】プラスチック米の見分け方は難しい!考え方は食品添加物
結論から述べると、精米改良剤が使われた米(=プラスチック米)を、見た目だけで判断することは非常に困難です。
プラスチック米は古米が割れにくくなり、新米のように白く光沢が増すことを目的に加工されているためです。精米改良剤として使われるのは、主に「プロピレングリコール(PG)」「グリセリン脂肪酸エステル」「D-ソルビット」「リン酸塩」で、食品衛生法で許可された食品添加物です。
従って、プラスチック米を危険な食品と捉えるよりも、食品添加物による加工食品の一種として正しく理解することが大切です。
プラスチック米(精米改良剤コーティング米)の見分け方5選
見分け方①見た目:ツヤ・白さ・粒の均一さ
プラスチック米の見分け方として、精米改良剤を使用した米は添加物でコーティングされているため、古米にもかかわらず強い光沢(ツヤ)が出やすいとされています。また、休憩します。極端に白く、粒がそろいすぎている場合も加工されている可能性があります。
見分け方②匂い:生米と炊き上がりの香り
通常の米では開封時や炊き上がりに、穀物特有の匂いや、かすかにぬかの香りがします。しかし、加工された米では、そのような米本来の匂いが薄い傾向にあります。また、コーティングされているため、場合によっては油のような臭いを感じることもあるでしょう。
見分け方③水に浸す:濁り方と浮き方
米を研ぐ際に、コーティングされた古米は空気を含んでいるため浮くことがあります。ただし、普通の米でも浮くことはあるので、確定は難しいかもしれません。
また、コーティングにより研ぎ汁があまり濁らない、添加物により不自然に泡立つという現象が見られることもあります。
見分け方④炊き上がり・冷めたときの食感
食感もポイントです。改良剤のD-ソルビットには保湿効果があり、炊き立てはふっくらしていても、冷めると急激に硬くなったと感じることがあります。
時間が経ってもツヤが消えない、ベタついているといった場合も改良剤が影響していると考えられます。
見分け方⑤価格・精米日・産地表示から推定
精米日は加工した日なので比較的新しい日付の場合が殆どです。しかし、直近の精米日にもかかわらず相場よりも極端に安い米や、産地が「国内産」としか書かれていない商品は、加工された古米を含んでいる可能性があります。
プラスチック米を完全に見分けることは難しい
プラスチック米は「完璧には見分けられない」
プラスチック米の見分け方を紹介しましたが、現在の精米技術は非常に高度で、普通の米と完全に見分けるのは非常に困難です。
見た目・匂い・水に浸した時の様子などは、品種・保存状況などによっても影響を受けます。
「なんとなくおかしい」と感じることはできても、分析をしない限り正確な判別はできないのが現状です。
そのため、完全に見分けたいと考えるよりも、「疑わしい商品は避ける」という判断が重要です。
よくある誤解!お米由来のプラスチックはライスレジン
プラスチック米と混同されがちなのが、米から作られる「ライスレジン」です。これは、食用に適さない古米や、飼料にも使えず廃棄される米を原料として作られるバイオマスプラスチックのことで、カトラリーや文具、ごみ袋などに活用されています(参考文献:お米を使ったバイオマスプラスチック原料の製造|農林水産省)。
プラスチックで作られた米ではなく、米から作られるプラスチック製品であり、食用の米にライスレジンが混ざることはありません。
混同注意!都市伝説的な「プラスチック製偽米」
ビニールやプラスチックで作られた偽物の米が流通しているといった話が、SNSなどで拡散されました。主に海外で作られた動画で、日本国内でそのような偽造された米が流通しているという事実は確認されていません。
しかし日本では、食品衛生法と食品表示法さらに農薬取締法によって、農薬や食品添加物の使用、表示内容については食品衛生法や食品表示法によって厳しく管理されています。そのため、表示を偽って販売した場合は食品表示法違反として厳しく罰せられます。
コンビニ・スーパー・備蓄米はプラスチック米なのか
コンビニのおにぎりやスーパーの弁当、備蓄米などに品質保持のため植物油や精米改良剤が使われることがあります。時間が経っても傷まない・硬くならないようにするためや、大量調理での製造効率を上げるためです。
こうした米を「プラスチック米」と呼ぶことがありますが、食品衛生法の範囲で加工された米です。国に認められた成分を使用しており、危険な物質が混入しているものではないため、食べたからと言って過度に心配する必要はありません。
プラスチック米は精米改良剤が使用された米
精米改良剤とは古い米をおいしくする食品添加物
プラスチック米に用いられる精米改良剤とは、主に精米した古米の表面に施される食品添加物の一種です。主に用いられる成分と利用目的を紹介します。
・プロピレングリコール:古米に新米のような「ツヤ」を出す
・D-ソルビット:合成甘味料で甘みと湿り気を補う
・リン酸塩:古米を割れにくくする
・グリセリン脂肪酸エステル(乳化剤):添加剤を均一にコーティングする
これらを使用することで古くなった米にツヤと甘みを加えて、新米のような見た目と食感が得られます。
精米改良剤入りの米が有害というわけではない
精米改良剤を使用しているからと言って、いわゆるプラスチック米が有害だと断言できるわけではありません。
食品添加物と聞くと、良くないイメージを抱く方も多いと思いますが、精米改良剤は安全性が評価された成分しか使用できません。基準範囲内での使用量であれば、直ちに健康に大きな被害を及ぼす可能性は低いと考えられています。
従って、精米改良剤を使用している米だからといって有害だというわけではありませんが、添加物を避けたいと考える方にとっては気になる存在でしょう。
プラスチック米は危険?体に悪い?薬剤師が教える食品添加物の正しい考え方
精米改良剤が添加された米の危険性を検討した報告は、現時点では確認できませんでした。食品添加物の安全性については、国の評価機関において一日摂取許容量が定められています(参考文献:Q3.食品添加物は食べても安全なのですか?|厚生労働省)。
このため、科学的な観点では過度に心配する必要はないと言えます。一方で、精米改良剤を過剰に摂取すると起こりうる健康への影響として、次のような症状が考えられます。
・アレルギー症状:成分にアレルギーのある人は発疹、蕁麻疹などが出る可能性があります
・胃腸症状:D-ソルビット(ソルビトール)などにより下痢や腹痛が生じることがあります
・血糖上昇:D-ソルビットによる血糖値への影響が考えられます
プラスチック米は一概に危険とは言い切れませんが、不安な場合は無添加の米を選んだ方が良いでしょう。
それでもプラスチック米が気になる方の「安全なお米の選び方」
農家直送の通販サイトでお米を買う
購入している米が加工米かどうか気になる方は、農家直送の米を購入すると良いでしょう。生産者の顔が見え、表示がしっかりしている点が強みです。また、スーパーなどの流通経路を通らないため、精米改良剤が使われにくい環境で流通するのもポイントです。
最近では、産地直送の通販サイトやアプリなども数多くあるので、気に入ったサイトを見つけて注文できます。
ふるさと納税で無農薬・無添加米を選ぶ
ふるさと納税の返礼品として、米を選ぶのも一案です。自治体の厳選した特産品のため、品質管理がしっかりしており、精米したての新鮮な米が届くことが多いです。
また、こちらも生産者の顔が見えやすく、返礼品の説明欄には「無農薬」や「特別栽培米」などと表記されているため、自分の基準に合った米を選べます。
生産地や精米方法が開示されている場合もあるので、節税対策をしながら安心して家族においしい米を食べさせることができます。
オーガニック食材宅配でお米を買う
オーガニック食材宅配サービスの利用もおすすめです。サービスによって独自の厳しい基準を設けており、添加物や農薬の使用を管理し、食への安全を大切にしています。
これらのサービスで取り扱う米は、基本的に精米改良剤を使用していません。特に、有機JAS認証などの第三者認証を受けた米を取り扱う食材宅配は、コストはかかるものの農薬や添加物が厳格に管理されるため選択基準の一つとなります(参考文献:有機食品の検査認証制度|農林水産省)。
「プラチック米の見分け方」に関するよくある質問(FAQ)
Q1. プラスチック米はどんな味ですか?
精米改良剤を使用した米を味だけで判別するのは難しいとされていますが、添加剤による甘みを感じることがあるようです。敏感な人は米の甘みがないと感じたり、油っぽさや冷めた時に独特のパサつきを感じたりすることがあります。
ただし、味の感じ方は個人差があるため、全ての人が違和感を覚えるとは限りません。また、炊飯時の水の量や炊き方によっても風味は変わるため、一概にプラスチック米だと断言することはできません。
Q2. プラスチック米の表示は?
精米改良剤を使用した場合、食品表示法によりパッケージへの記載が義務付けられています。厚生労働省の通知には次のように記載されています。
“名称等に加え、使用した食品添加物を含む旨(栄養強化の目的で使用されるもの、加工助剤及びキャリーオーバーを除く。)の表示が必要です。食品添加物を使用した精米を原材料として使用した米飯、おにぎり等を販売する場合は、精米時に使用した食品添加物の表示も必要となります。(キャリーオーバーを除く。)”
(引用文献:「精米改良剤」と称した食品添加物を使用した米の表示について|厚生労働省)
そのため、販売されている米袋の原材料名または成分表示欄には、精米改良剤や品質改良剤、プロピレングリコール、乳化剤などと記載されます。
Q3. プラスチック米のメリットは?
古くなった米でも見た目の良さ、味を一定の品質に保てる点や安さがメリットです。
外食産業や弁当屋など、コストを抑えながら見た目を保ちたい場面などでは重宝されます。コーティングによって米の酸化を遅らせ、保存性を高める効果も期待できます。食品ロスの削減や価格の安定につながる側面もあるため、業務用としては一定の合理性を持ち合わせています。
まとめ:プラスチック米の見分け方は難しい!食品添加物は正しく理解して
日本で使われるプラスチック米とは、食品添加物である精米改良剤を使用した加工米のことです。
見た目、味、匂いも普通の米と大きな違いはなく、敏感な人であれば違和感に気付くかもしれませんが、家庭で完全に見分けるのは困難です。
精米改良剤に用いられる食品添加物は、国の評価機関において一日摂取許容量が定められているので過度に心配する必要はありません。不安をあおる情報に振り回されず、正確な知識を持って冷静な判断をすることが家族の健康につながります。

本記事は、精米改良剤を用いたいわゆる「プラスチック米」を、食品添加物を含む加工米としてどう理解し選ぶかを解説しています。保存性や価格の安定など利点がある一方、添加物を控えたい方や体質によっては不安材料にもなり得ます。表示を確認し、自分と家族の価値観に合う米を選びましょう。気になる症状がある場合は、自己判断に頼らず医師や専門家に相談することをおすすめします。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム(薬剤師在籍)
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