2025/06/05
「ソイプロテインは男性に危険」そんな噂を耳にして、トレーニングや健康管理のために飲むのをためらっていませんか?
原料の大豆に含まれるイソフラボンが女性ホルモンに似ているため、テストステロン低下や体に女性的な変化が起こるのでは…という不安は深刻です。
この記事では、ソイプロテインが男性にもたらす危険性という懸念について、最新の科学的根拠を基にその真相を徹底解説します。

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目次
ソイプロテインを理解するための基礎知識
プロテイン(タンパク質)は、私たちの体を構成する上で根幹をなす栄養素です。
筋肉や臓器、皮膚、毛髪などを形作るだけでなく、体の機能を調整するホルモンや酵素、免疫に関わる抗体としても働いています。
健康的な体づくりと維持のためには、日々の食事を通じて十分なタンパク質を摂取することが不可欠です [*5]。
近年、健康やフィットネスへの関心が高まる中で、効率的にタンパク質を補給できるプロテインパウダーが広く利用されるようになりました。
その中でも「ソイプロテイン」は、日本の食生活にも深く根ざしている大豆を原料とする、植物性プロテインの一種です。その特性を詳しく見ていきましょう。
植物由来であること
ソイプロテインの最大の特徴は、その名の通り大豆から作られた植物性のタンパク質である点です。そのため、肉や魚、乳製品などの動物性食品を摂取しない菜食主義(ベジタリアンやヴィーガン)の方々にとって、貴重なタンパク質源となります。また、牛乳に含まれる乳糖をうまく消化できずにお腹の調子が悪くなる「乳糖不耐症」の方や、牛乳タンパク質に対してアレルギーを持つ方でも、安心して利用できる場合が多いです。
栄養価の高さ
大豆は古くから「畑の肉」と称されるほど、良質なタンパク質を豊富に含んでいます。ソイプロテインもその栄養価を受け継いでおり、タンパク質を構成するアミノ酸の中でも、体内で作り出すことのできない9種類の「必須アミノ酸」をバランス良く含んでいます。これは、筋肉の合成や体の維持にとって非常に重要です。
穏やかな吸収速度
ソイプロテインは、一般的に牛乳由来のホエイプロテインと比較すると、体内での消化・吸収速度が緩やかであるとされています。この特性により、飲んだ後の満腹感が比較的長く持続しやすいと感じる人もいます。そのため、食事間の空腹感を抑えたい場合や、就寝前のタンパク質補給などにも利用されることがあります。
製品の種類
ソイプロテイン製品は、その製造方法によっていくつかの種類に分けられます。代表的なものに「SPI(Soy Protein Isolate:分離大豆たんぱく)」と「SPC(Soy Protein Concentrate:濃縮大豆たんぱく)」があります。SPIは、タンパク質以外の成分(脂質や炭水化物など)をより多く取り除き、タンパク質含有率を90%程度まで高めたものです。一方、SPCはタンパク質含有率が70%程度で、より大豆本来の成分が残っています。利用目的に応じて選ぶことができます。
このように、ソイプロテインは多くの利点を持つ食品ですが、「男性が摂取すると体に良くないのでは?」という疑問の声も聞かれます。次章からは、その背景と真実について掘り下げていきます。
男性にとってソイプロテインは危険?巷に広まる噂の真相
「筋肉増強どころか、逆効果になるのでは?」
特にインターネットを中心に、このような情報が広まり、不安を感じている男性もいらっしゃるかもしれません。トレーニングに励む方であれば、なおさら気になる話題でしょう。
栄養価が高く、健康的なイメージもあるソイプロテインが、なぜ男性にとってネガティブな文脈で語られることがあるのでしょうか。
その鍵を握るのが、原料である大豆特有の成分、「大豆イソフラボン」です。
この記事では、「ソイプロテインと男性への危険性」というテーマについて、日本の公的機関の見解や、国内で参照される科学的データに基づき、噂の根拠と実際のところを丁寧に解説していきます。
一概にソイプロテインは絶対にダメという意見に流されるのではなく、安全とされる摂取量の目安や、ソイプロテインが男性にもたらすメリットについても触れ、正しい知識に基づいた判断ができるようサポートします。
なぜ「ソイプロテインは男性に危険」と言われるのか?主な理由
ソイプロテインが男性にとって懸念材料とされる背景には、「大豆イソフラボン」という成分の性質が大きく関わっています。
この成分が、男性の体内で予期せぬ働きをするのではないか、と考えられているためです。
大豆イソフラボンと女性ホルモン(エストロゲン)の構造類似性
私たちの食生活に身近な大豆製品(豆腐、納豆、味噌、豆乳など)には、「大豆イソフラボン」と呼ばれるポリフェノールの一種が含まれています。代表的なものにゲニステインやダイゼインがあります。この大豆イソフラボンは、女性ホルモンとして知られる「エストロゲン」と化学的な構造が似ていることが特徴です。
この構造的な類似性から、大豆イソフラボンは体内でエストロゲンのような作用を示す可能性があると考えられ、「植物エストロゲン(フィトエストロゲン)」とも呼ばれています。具体的には、体内に存在するエストロゲンを受け取るための鍵穴(受容体)に、本来のエストロゲンの代わりに結合する可能性があるのです。この「エストロゲンに似た働きをするかもしれない」という点が、男性の体内でのホルモンバランスへの影響を心配させる根源となっています。
「テストステロンが低下する」「女性化する」という懸念
男性の体においては、テストステロンという男性ホルモンが、筋肉量の維持・増加、骨格の形成、性機能の維持といった「男性らしさ」を支える上で極めて重要な役割を担っています。一方で、エストロゲンは主に女性ホルモンとして機能します。
もし、大豆イソフラボンが体内で強いエストロゲン様作用を発揮すると仮定した場合、男性が継続的にソイプロテインを摂取すると、「体内のテストステロン分泌が抑制され、そのレベルが低下してしまうのではないか」「筋肉が付きにくくなったり、逆に体脂肪が増えやすくなったりするのではないか」「ひいては、胸が女性のように膨らむ(女性化乳房)といった、望まない身体的変化(女性化)が起こるのではないか」「さらには、性欲の減退や精子の質の低下など、生殖機能にも悪影響が及ぶのではないか」といった具体的な不安が生じます。これらの連想が、「ソイプロテインは男性には危険だ」という強い言説につながっていると考えられます。
【科学的根拠】ソイプロテインは男性の体にどう影響する?
大豆イソフラボンのエストロゲン様作用について、科学的な視点や日本の専門機関はどのように捉えているのでしょうか。
構造が似ているからといって、必ずしも同じ作用をするとは限りません。
大豆イソフラボンの作用は限定的
大豆イソフラボンがエストロゲン受容体に結合する能力を持つことは確かですが、その結合力や作用の強さは、体内で作られる本来のヒトエストロゲンと比較すると格段に弱いことが分かっています。研究によっては、その強さは数百分の一から数千分の一程度とも言われています。
さらに、その作用は一様ではありません。国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が運営する「『健康食品』の安全性・有効性情報」のデータベースでは、大豆イソフラボンに関する国内外の研究情報がまとめられています。それによると、大豆イソフラボンは、弱いエストロゲン様作用を示す場合もあれば、逆にエストロゲンの働きを阻害するような「抗エストロゲン作用」を示す可能性も指摘されています。また、結合する受容体の種類(αかβか)によっても作用が異なるとされ、体内環境や摂取量によってその働き方は複雑に変化しうることが示唆されています [*6]。単純に「エストロゲンと同じように働く」と断定できるものではないのです。
男性ホルモンや生殖機能への影響に関する国内外の研究
男性にとって最も関心の高いテストステロン値や精子への影響については、これまで国際的に多くの研究が行われてきました。それらを統合的に分析したメタアナリシス(複数の研究結果を統計的に解析する手法)が2010年と2020年に報告されていますが、これらによれば、通常の食事やサプリメントから大豆タンパク質やイソフラボンを摂取することが、男性のテストステロン値(総テストステロン、フリーテストステロン)や精液の質(精子濃度、運動率など)に対して、統計的に意味のある悪影響を与えるという結果には至っていません [*1, *2]。(ただし、これらは主に海外の研究者を対象とした研究である点には留意が必要です。)
日本の国立健康・栄養研究所のデータベースにおいても、これらの海外研究に言及しつつ、現時点での科学的知見として、大豆イソフラボンは「通常の食生活で摂取される量、あるいは、適切に利用する場合には安全性が示唆されている」とまとめています。一方で、極端な過剰摂取や長期的な摂取の影響については、まだデータが不十分な面もあるとも指摘しており、今後の研究動向も注視する必要があるとしています [*6]。
結論:「通常の摂取量では 男性 への 危険 性は低い」
日本の食品安全委員会の評価や、国立健康・栄養研究所が提供する情報、そして国際的な研究報告を総合的に考慮すると、現時点での結論は以下のようになります。「ソイプロテイン(およびそれに含まれる大豆イソフラボン)を、常識的な範囲内の量で摂取する限りにおいて、男性の健康に対して重大な危険性をもたらすという確たる証拠は乏しい」と言えるでしょう。
テストステロンの顕著な低下や、身体の女性化といった極端な心配については、現在の科学的根拠は薄いと考えられます。しかしながら、「適量」を心がけることの重要性は言うまでもありません。
飲み過ぎは注意!大豆イソフラボンの安全な上限摂取量
ソイプロテインを安全に利用するためには、大豆イソフラボンの摂取量を意識することが重要です。
日本の公的機関は、この点について具体的な目安を示しています。
日本の食品安全委員会が推奨する1日の上限値とは
国民の食の安全を守るために設置されている内閣府 食品安全委員会は、2006年に大豆イソフラボンの安全性に関する評価を行い、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」を公表しました。この中で重要なのは、日常の食事からの摂取に加えて、特定保健用食品(トクホ)やサプリメントなどで意図的に大豆イソフラボンを「上乗せ」して摂取する場合の、安全な一日摂取目安量の上限値を設定したことです。その値は、70~75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値として)とされています [*3]。
この上限値を理解する上で、いくつか注意点があります。まず、これはあくまで通常の食事に「上乗せ」する場合の目安であり、食事から摂る分も含めた総量の上限ではありません。日本人の平均的な大豆製品からのイソフラボン摂取量は、この上限値よりも低いとされています。次に、この値は長期間、毎日摂取し続けた場合の安全性を考慮したものであり、一時的に多少超えたからといって直ちに健康問題が起こるわけではありません。最後に、「アグリコン換算値」とは、糖が外れて体内で吸収されやすい形になったイソフラボンの量を指します。
ソイプロテインパウダーを選ぶ際や利用する際には、この食品安全委員会の上限値を目安として、製品に含まれるイソフラボン量を確認し、自身の食生活と合わせて過剰摂取にならないよう注意を払うことが賢明です。
【男性向け】体重別・大豆イソフラボン摂取上限 早見表
食品安全委員会が示す上限値は体重に関わらず一定ですが、より個人に合わせた目安として、参考までに体重別の摂取量目安を考えてみましょう。ただし、これは公式な基準ではなく、あくまで本記事独自の参考値である点をご理解ください。基本は、食品安全委員会の上限値(70-75mg/日)を遵守することが最も重要です。
体重 (Weight) | 1日のイソフラボン摂取目安(サプリメント等から上乗せする場合) | 備考 (Notes) |
50kg台 | 50~60mg 程度 | 食品からの摂取量も考慮に入れる |
60kg台 | 60~70mg 程度 | 食品安全委員会の上限値(70-75mg)も強く意識 |
70kg台 | 70~75mg 程度 | 上限値付近。食品からの摂取量をより意識する |
80kg以上 | 70~75mg 程度 | 上限値を超えないよう、製品の含有量をしっかり確認 |
Google スプレッドシートにエクスポート
早見表の活用にあたって: この表は、ご自身の体重に近い範囲の数値を、サプリメント等から「追加で」摂取する際の参考目安としてご覧ください。体重が多い方であっても、サプリメント等からの上乗せ分については、食品安全委員会の上限である70-75mg/日を超えないように注意することが安全策と言えます。また、日常的に豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品を多く摂取している方は、その分を考慮してサプリメントからの摂取量を調整することが望ましいでしょう。
プロテイン製品や食品のイソフラボン含有量を確認しよう
適切な摂取量を守るためには、まず利用するソイプロテイン製品のイソフラボン含有量を知ることがスタート地点です。製品パッケージの栄養成分表示欄に「大豆イソフラボン」や「アグリコン換算値」として記載されているか確認しましょう。もし記載がなければ、製造・販売メーカーのウェブサイトを確認するか、直接問い合わせてみるのも良い方法です。ソイプロテインの種類(SPIかSPCか)や製造方法によって含有量は大きく異なるため、注意が必要です。一般的には、タンパク質純度が高いSPIの方が、イソフラボン量は少ない傾向にあります。
主な大豆食品のイソフラボン含有量目安
日々の食事からの摂取量を把握するために、代表的な大豆食品に含まれるイソフラボン量(アグリコン換算値)の目安を知っておくと便利です。例えば、納豆1パック(約45g)には約33mg、木綿豆腐1/2丁(約150g)には約30mg、豆乳コップ1杯(200ml)には約50mg、味噌汁1杯には約6mg程度が含まれるとされています(これらはあくまで目安であり、製品によって差があります)。これらの数値を参考に、ご自身の食生活とソイプロテインからの摂取量を合わせて、トータルでのイソフラボン量を意識することが大切です。
危険どころかメリットも?男性がソイプロテインを摂取する利点
これまでソイプロテインの安全性について検証してきましたが、適切な摂取量を守れば、過度に心配する必要はないことがお分かりいただけたかと思います。
それどころか、ソイプロテインは男性にとっても多くの肯定的な側面を持っています。
筋肉づくりと維持のサポート
タンパク質は筋肉の主要な構成要素であり、トレーニングによってダメージを受けた筋組織の修復や、筋肉量を増やすためには不可欠な栄養素です。ソイプロテインも、この筋肉づくりをサポートする上で有効な選択肢となります。必須アミノ酸をバランス良く含んでおり、筋肉の材料として効率的に利用されます。厚生労働省の「e-ヘルスネット」によれば、特に運動習慣のある人は、筋肉の修復・増強のためにより多くのタンパク質が必要となる場合があるとされています [*7]。いくつかの研究では、適切な量のソイプロテイン摂取が、ホエイプロテインと同様に筋肉量の維持や増加に貢献することも示唆されており [*4]、植物性タンパク質も動物性タンパク質と組み合わせるなどして、効果的に活用できると考えられています。
健康維持への貢献(コレステロールなど)
ソイプロテインの摂取は、筋肉だけでなく、より広範な健康維持にも役立つ可能性が指摘されています。特に注目されるのが、血中コレステロール値への影響です。日本では、消費者庁が許可する「特定保健用食品(トクホ)」の中に、「大豆たんぱく質」を関与成分とし、「コレステロールが高めの方に適する」といった表示が認められている製品が存在します [*8]。これは、科学的根拠に基づき、大豆タンパク質に血中のLDL(悪玉)コレステロールを低下させる作用が確認されているためです。生活習慣病のリスクが気になる方にとって、これは無視できないメリットと言えるでしょう。また、大豆に含まれるイソフラボンやサポニンといった成分には抗酸化作用なども報告されており、総合的な健康増進への貢献も期待されます。
満腹感と体重管理への応用
ソイプロテインは、消化吸収が比較的緩やかであるという特性を持っています。このため、摂取後の満腹感が長く続きやすいと感じる人が多くいます。この性質は、食事と食事の間の空腹感を抑えたり、一回の食事量を自然にコントロールしたりするのに役立つ可能性があります。したがって、体重管理やダイエットを目的としている場合に、カロリーを抑えつつタンパク質を補給し、満足感を得るための手段としても活用できます。特に脂質の含有量が少ないSPIタイプの製品は、この目的に適していると言えるでしょう。
乳製品が苦手な場合の代替選択肢
プロテイン市場では牛乳由来のホエイプロテインやカゼインプロテインが主流ですが、体質的にこれらが合わない方も少なくありません。例えば、牛乳に含まれる乳糖によってお腹がゴロゴロしたり、下痢をしたりする「乳糖不耐症」の方。あるいは、牛乳タンパク質そのものに対してアレルギー反応が出てしまう方。このような方々にとって、植物由来のソイプロテインは非常に重要な代替選択肢となります。また、動物性食品を摂取しないベジタリアンやヴィーガンの方にとっても、ソイプロテインは質の高いタンパク質を確保するための貴重な食品です。
ソイプロテイン摂取で注意が必要なケース
多くの男性にとって安全かつ有益なソイプロテインですが、摂取にあたって注意を要する、あるいは避けるべき方もいらっしゃいます。
大豆アレルギーを持つ方
最も注意が必要なのは、大豆そのものに対してアレルギーを持っている方です。ソイプロテインは大豆を原料としているため、アレルギーのある方が摂取すると、皮膚症状(かゆみ、発疹など)、消化器症状(腹痛、下痢など)、呼吸器症状(喘息発作など)、場合によってはアナフィラキシーショックといった重篤な症状を引き起こす危険性があります。大豆アレルギーと診断されている方は、ソイプロテインの摂取は絶対に避けてください。
特定の疾患(甲状腺機能など)がある方
何らかの病気で治療を受けている方や、特定の健康上の懸念がある方も注意が必要です。特に、甲状腺の機能に関する疾患(甲状腺機能低下症など)で治療中の方は、摂取前に主治医に相談することが強く推奨されます。これは、大豆に含まれる一部の成分(ゴイトロゲン)が、甲状腺ホルモンの生成に必要なヨウ素の利用を妨げる可能性が指摘されているためです。ただし、日本人の通常の食生活ではヨウ素摂取量は充足している場合が多く、過度に心配する必要はないとの見解もありますが、個々の病状によって判断は異なります。その他、何らかの持病をお持ちの方や、日常的に薬を服用されている方も、念のため医師や薬剤師に相談してからソイプロテインの利用を開始すると、より安心でしょう。
まとめ:ソイプロテインは男性に危険ではない!正しく理解して活用しよう
この記事では、「ソイプロテインは男性にとって危険なのか?」という長年の疑問に対し、日本の公的機関の見解や国内外の科学的知見を基に、多角的に解説してきました。
結論として、大豆イソフラボンのエストロゲン様作用を過度に心配する必要はなく、通常の食生活の範囲や、サプリメントとして適切な量を守って摂取する限りにおいては、ソイプロテインが男性の健康に重大な危険をもたらすという確たる証拠は乏しいと言えます。テストステロン値への顕著な悪影響や、身体の女性化といった懸念は、現在の科学的根拠からは支持されにくいものです [*6, *1, *2]。
重要なのは、過剰摂取を避けることです。特にサプリメント等で意図的に摂取する場合は、食品安全委員会が示す1日の上乗せ摂取量の上限目安(70-75mg/日)を意識し、製品の含有量を確認することが大切です [*3]。
むしろソイプロテインは、筋肉の維持・増強のサポート [*7, *4]、血中コレステロール値の改善への寄与(トクホの関与成分)[*8]、満腹感による体重管理への応用、そして乳製品が苦手な方への代替選択肢となるなど、男性にとっても多くのメリットが期待できる食品です。
ただし、大豆アレルギーの方や、特定の疾患を持つ方は摂取を避けるか、医師への相談が必要です。
インターネット上には様々な情報が溢れていますが、不確かな情報や誇張された噂に惑わされることなく、信頼できる情報に基づいて判断することが肝要です。この記事が、皆さんがソイプロテインについて正しく理解し、ご自身の健康目標や体質に合わせて賢く活用するための一助となれば幸いです。
出典
[*1] Hamilton-Reeves JM, et al. Fertil Steril. 2010 Aug;94(3):997-1007. (海外文献) PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20378106/
[*2] Reed KE, et al. Reprod Toxicol. 2021 Mar;100:60-67. (海外文献) PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33383165/
[*3] 食品安全委員会「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」平成18年5月 * 公式文書(PDF): https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-daiji-isoflavone.pdf * (関連情報) 大豆イソフラボンに関するQ&A
[*4] Messina M, et al. J Sports Sci Med. 2018 Mar 1;17(1):108-118. (海外文献) * PubMed Central (全文無料): https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5852820/
[*5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-002.html
[*6] 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報 – 大豆イソフラボン」 * https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail642.html (注: このページは専門家向け情報を含みます。網羅的な情報が記載されており、個別の研究結果だけでなく、全体的な評価状況を理解する上で参考になります)
[*7] 厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力・筋肉量を増やすための栄養摂取の基本」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-002.html
[*8] 消費者庁「特定保健用食品(トクホ)制度について」 (制度概要) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/
(執筆・オオサカ堂 コンテンツ制作チーム)
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