2026/01/20
乳酸アシドーシスの初期症状(吐き気などの消化器症状、だるさ、筋肉痛)が生じた場合は、すぐに受診が必要です(参考文献:乳酸アシドーシスについて)。
あなたが糖尿病のお薬(メトホルミン)を服用中であれば、ちょっとした症状を感じたときに、「ただの風邪?」「病院や薬局で説明された副作用…?」と悩んでしまうかもしれません。
薬剤師としては、「初期サインを見逃さないことが大切である」と患者さんに説明します。そのため、あなたが感じたちょっとしたサインに注目することは非常に重要なことです。
この記事では、単に症状を羅列するだけでなく、あなたが今感じている症状が本当に危険なサインなのかをどう見分けるか、そして体調が悪い時に薬をどうすべきかという、具体的な行動基準を薬剤師の視点から、わかりやすく解説します。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム
おかげさまで28年間、安心信頼の個人輸入代行・オオサカ堂のコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師資格保有者が監修。
目次
【結論】乳酸アシドーシスの症状「吐き気、だるさ、筋肉痛」の放置は危険!今すぐ対処
糖尿病治療薬(メトホルミンなど)を服用中に、以下のような症状が現れた場合、重大な副作用の初期症状である可能性があります。
乳酸アシドーシスとは?
体内に「乳酸」が異常に蓄積し、血液が酸性に傾いてしまう危険な状態です。
「ただの風邪かな?」と様子を見るのは危険です。
すぐにかかりつけの医師・薬局に連絡するか、
夜間・休日でも救急外来を受診してください。
乳酸アシドーシスとは?初期症状セルフチェックリスト
エネルギー生成過程で生じる「乳酸」が異常に増え、血液が酸性に傾く状態です。
重篤な場合は命に関わるため、初期症状での気付きが重要です。
以下の初期症状がないか、チェックリストで確認しましょう。
これらのサインを見逃さず、初期段階で対処することが命を守ります。
乳酸アシドーシスの症状と似てる?風邪や疲れと「危険なサイン」を見分ける3つのポイント
最も不安に感じるのは、「この症状が、ただの風邪やいつもの疲れとどう違うのか?」という点でしょう。ここでは、乳酸アシドーシスの症状との見分け方の重要なポイントを3つに絞って解説します。
1.胃腸症状(吐き気・下痢)の見分け方
メトホルミン開始直後(〜2週間程度)は、軽い吐き気や下痢を経験される方が少なくありません。
これは「体が薬に慣れる過程」でよくあることです。
乳酸アシドーシスの胃腸症状には、明らかな「異変」があります。
以下の悪循環に陥るリスクがあります。
「いつもの副作用とは明らかに違う」と感じたら、
迷わず受診してください。
2.倦怠感・筋肉痛の見分け方
仕事や運動による疲れと区別がつきにくいですが、以下のような違いがあります。
ある程度は回復する
(体が鉛のように重い)
朝から体が鉛のように重く、起き上がるのもつらい状態。
脚がつる(こむら返り)回数が急に増える。
全く回復の兆しが見られない「異常なだるさ」や「原因不明の筋肉痛」は、決して無理をしてはいけないサインです。
直ちに受診してください。
3.呼吸の変化に注意
乳酸アシドーシスのサインの一つに「呼吸の変化」があります。
これは、体が酸性に傾いた血液を元に戻そうとする必死の防御反応です。
(過呼吸)
安静にしているにもかかわらず、ハアハアと浅く速い呼吸(過呼吸の状態)になります。
乳酸アシドーシスの主な原因とメトホルミンとの関係
乳酸アシドーシスの原因は一つではありません。特に糖尿病の治療薬として広く使われている「メトホルミン」との関係は深く、服用中の方は正しく理解しておくことが非常に重要です。
メトホルミンの作用機序と乳酸アシドーシスの関係
メトホルミンは糖尿病の第一選択薬ですが、体の「乳酸処理」に関わる重要な作用を持っています。
同時に、肝臓での「乳酸の処理」も少しだけ抑える性質があります。 (糖尿病診療ガイドライン, Endocrine Reviews)
通常、メトホルミンは腎臓から速やかに排泄されるため問題ありません。
しかし、腎臓の働きが悪くなると、事態は急変します。
メトホルミン以外にもある乳酸アシドーシスの原因
- ショック状態
- 心不全
- 敗血症
血液循環が悪くなり、組織に酸素が届かなくなることで乳酸が増加します。
- 重度の肝機能障害
- 腎機能障害
乳酸を代謝・排泄する臓器が働かなくなり、体内に蓄積します。
- アルコールの多量摂取
- ビタミンB1(チアミン)欠乏
アルコール分解への偏りや、代謝に必要なビタミンの不足が原因となります。
メトホルミンの服用時はシックデイ(発熱・下痢・嘔吐時)に要注意
風邪や胃腸炎などで「体調が悪い日」のことです。
この時、メトホルミン服用者は「休薬(薬を飲むのをやめる)」することが基本ルールです。
- 風邪やインフルエンザ等による発熱がある
- 下痢・嘔吐などで食事が十分に摂れない
- 水分が摂れず、脱水が疑われる
➡ 速やかにかかりつけ医・薬剤師へ連絡してください。
「処方された薬だから、体調が悪くても飲み続けないと…」という考えは、メトホルミンに関しては非常に危険です。
シックデイの時は、メトホルミンは休薬することが基本です。
病院に連絡しにくい場合でも、薬局であれば相談に乗れます。
筆者も薬局勤務時代は、週に数回は電話での相談対応を行っていました。
気兼ねなく相談できる「かかりつけ薬局」を見つけておくことが、いざという時の安心に繋がります。
こんなことで連絡していいのかな?と思ってしまいがちですが、遠慮する必要はありません。かかりつけ薬局や薬剤師を持っておくと、いざというときに気兼ねなく相談できます。
薬局でも服薬指導のときに聞いたことがあるかもしれませんが、シックデイについては押さえておきましょう。
乳酸アシドーシスのリスクを高める5つの危険因子
シックデイ以外にも、乳酸アシドーシスのリスクを高める要因(危険因子)がいくつか知られています。メトホルミンを安全に使い続けるために、ご自身に当てはまるものがないか、普段から意識しておくことが大切です。
リスク①腎機能・肝機能の低下
乳酸アシドーシスのリスクが急上昇します
リスクが高まるため、投与量の調整など慎重な対応が必要です。
メトホルミンの投与は原則として禁止されています。
※重度の肝機能障害がある方も、乳酸代謝が滞るためリスクが高く、注意が必要です。
定期的に「血液検査」を受け、数値を把握しましょう。
リスク②脱水
シックデイ(病気の日)だけでなく、日常生活の中にも脱水のリスクは潜んでいます。
なぜ脱水がいけないのでしょうか?
日常生活で注意すべき「3つのシーン」
多量の発汗
状態での運動
水分喪失
こまめに水分を補給する習慣が、最大のリスク回避策です。
リスク③過度のアルコール摂取
過度のアルコール摂取は、乳酸アシドーシスの重要なリスク因子です。
理由は大きく分けて2つあります。
気づかないうちに脱水状態を引き起こし、腎機能を低下させ、薬の蓄積を招きます。
- 🥇 基本は「禁酒」が最も望ましい
- 🥈 飲む場合は必ず「適量」を守る
- 🥉 飲みすぎないよう「自己管理」を徹底する
リスク④ヨード造影剤を使用する検査
CT検査や血管造影検査で使う「ヨード造影剤」は、まれに腎機能に一時的な影響を与えます。
これがメトホルミン服用者にはリスクとなります。
メトホルミンの服用を中止します。



検査前のメトホルミンの一時中止は実現場でもよく目にします。筆者も個人宅の患者さんの自宅に伺いメトホルミンの抜薬を行ったことが何回もあります。
リスク⑤高齢者である
高齢の方は、若い方に比べて乳酸アシドーシスを起こしやすい傾向にあります。
主な理由は以下の3点です。
日頃から体調の変化に気を配ることが大切です。
特に以下の変化には注意してあげてください。
病院で的確に症状を伝える準備とポイントを薬剤師が解説
「うまく伝えられるかな?」「ただの風邪だと思われないかな?」
そんな不安があっても大丈夫です。以下の4点をメモして持参すれば、落ち着いて的確に医師に伝えることができます。
症状が始まった日時と内容を時系列で整理します。
「今朝から体がだるくて起き上がれない」
他の病院の薬、市販薬、サプリメントなど全て書き出します。
📘 「お薬手帳」の持参が最も確実です脱水の有無を判断するために非常に重要です。
「水を少し飲んだだけでも吐いてしまう」
- 発熱の有無
- 下痢や嘔吐の回数
- 飲酒の有無
「いつもと違う」と感じる点は、どんな些細なことでも伝えてください。
遠慮せず、ありのままを伝えることが
適切な治療への第一歩です。
乳酸アシドーシスの症状に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 乳酸アシドーシスの死亡率はどのくらいですか?
A1.
かつては非常に恐れられていた乳酸アシドーシスですが、医療の進歩により死亡率は改善傾向にあります。
上記のデータには、治療が遅れた場合や、重篤になってから診断されたケースも含まれています。
つまり、条件が良ければもっと救えるということです。
速やかに治療を開始すること
ためらわずに医療機関へ相談してください。
その行動が、あなた自身を守ります。
Q2. 軽い筋肉痛だけでも受診すべきですか?
A2.
筋肉痛があっても、必ずしも副作用とは限りません。
以下のどちらに当てはまるか確認してみましょう。
- 筋肉痛「だけ」がある(吐き気などがない)
- 原因がはっきりしている(久しぶりの運動など)
- 数日で自然に治まっていく
メトホルミンを服用中の方で…
- 原因に心当たりがないのに痛む
- 痛みが続いている、または徐々に強くなる
- 「おかしいな」と感じる違和感がある
乳酸アシドーシスの初期症状の可能性も否定できません。
「軽い症状だから」「気のせいかも」と我慢や自己判断は禁物です。
かかりつけ医や薬剤師に相談してください。
何もなければそれで安心できますし、
万が一の場合にも早期対応につながります。
Q3. 乳酸アシドーシスを予防するために日常生活でできることはありますか?
A3.
日常生活で意識を変えるだけで、乳酸アシドーシスのリスクは減らせます。
特に重要なのは以下の「3つの習慣」です。
特に「大量の飲酒」は絶対に避ける必要があります。
体調が悪く、食事が摂れない・脱水の時は、自己判断で薬を飲み続けず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
安全に治療を続けていきましょう。
まとめ:乳酸アシドーシスの症状を感じたら自己判断せず、すぐに医療機関へ相談を
この記事では、乳酸アシドーシスの症状、特に危険なサインの見分け方と、万が一の時に命を守るための具体的な行動指針について、薬剤師の視点から詳しく解説しました。
最後に、最も大切な要点を復習しましょう。
- 「吐き気・だるさ・筋肉痛」などが、いつもの体調不良や薬の副作用とは違うと感じたら、それは乳酸アシドーシスの危険なサインかもしれません。
- 特に、発熱や下痢などで食事がとれない「シックデイ」には、自己判断でメトホルミンを飲み続けることは絶対にやめ、必ず医師や薬剤師に相談してください。
- 少しでも「おかしいな」「いつもと違うな」と感じたら、決して我慢したり、「様子を見よう」と自己判断したりせず、すぐにかかりつけの病院や薬局に連絡・相談してください。 時間帯によっては救急外来の受診もためらわないでください。
乳酸アシドーシスは頻度の高い副作用ではありませんので、過度に恐れる必要はありません。正しい知識でしかるべきときには正しい対応をしていきましょう。


メトホルミンは、糖尿病治療において第一選択で用いられる極めてありふれた薬です。乳酸アシドーシスの頻度は低いものの重篤な副作用であり、吐き気やだるさといった初期症状の見極めと、「シックデイ(体調不良時)」の対応が命を守る鍵となります。この記事では、危険なサインの見分け方と具体的な行動基準を解説しました。正しい知識で過度に恐れず、日々の体調変化に注意し、「いつもと違う」と感じたら速やかに医療機関へご相談ください。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム(薬剤師在籍)
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