2025/11/06
美容やダイエット目的で、ラシックス(成分名:フロセミド)を個人輸入で入手したいと思ったことはありませんか。
ラシックスはむくみの解消を期待して、以前は個人輸入されていました。
しかし現在、ラシックスの成分はいわゆる「スマートドラッグ規制」の対象に指定されており、個人輸入ができません(参考文献:脳機能の向上等を標ぼうする医薬品等を個人輸入する場合の取扱いについて)。
このことを知って不安や焦りを感じる方もいるかもしれません。
この記事では、ラシックスがなぜ個人輸入できなくなったのかその背景と、代わりとなる医薬品や、医薬品の安全な入手方法について薬剤師が説明します。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム
おかげさまで28年間、安心信頼の個人輸入代行・オオサカ堂のコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師資格保有者が監修。
目次
結論:ラシックス(フロセミド)の個人輸入は禁止されています
ラシックス(成分名:フロセミド)の一般の個人による輸入は、「医薬品医療機器等法」により禁止されています。
これは、医師の処方を受けずに自己判断で使用した場合に「重大な健康被害」や「乱用」につながるおそれがある医薬品は、数量に関係なく個人輸入が認められていないためです(参考文献:医薬品等の個人輸入に関するQ&A)。
ラシックスは利尿作用を持ち、心不全や腎不全といった病気の治療に用いられる薬です。
その一方で、体内の水分排泄により「むくみの解消」を期待して、美容・ダイエット目的で適応外使用されることがありました。
このような背景を受け、フロセミドは2019年1月1日から厚生労働省の規制強化に伴い、法規制の対象成分に指定されました(参考文献:脳機能の向上等を標ぼうする医薬品等を個人輸入する場合の取扱いについて)。
オオサカ堂でもラシックス(フロセミド)の注文はできません
オオサカ堂では、規制により個人輸入が禁止されているラシックスの取り扱いはありません(参考文献:脳機能の向上等を標ぼうする医薬品等を個人輸入する場合の取扱いについて)。
オオサカ堂は法令を遵守し、正確で信頼できる医薬品情報の提供を第一に考えています。
ラシックスは処方せん医薬品のため、国内のECサイトやドラッグストアで購入することもできません。
なお、「ラシックス 個人輸入」「フロセミド 個人輸入」と検索すると、オオサカ堂がヒットします。


しかし表示される商品はラシックス(フロセミド)ではなく、同じループ利尿薬と言う種類に分類される他の成分の薬です。
弊社の表示により、混乱を招き大変恐縮ですが、オオサカ堂にてラシックス(フロセミド)の取り扱いはありませんので、お間違えのないようお願いいたします。
なぜラシックスの個人輸入は厳しく規制されたのか?
ラシックスの成分であるフロセミドは、いわゆる「スマートドラッグ規制」で指定され、2019年1月1日以降個人輸入が禁止となりました。
「スマートドラッグ規制」とは、厚生労働省より発出された通知です。
「脳機能の向上」等をうたって海外で販売されている医薬品やサプリメントのうち、安易に使用すると健康被害や乱用につながるおそれの高い成分が指定されています(参考文献:脳機能の向上等を標ぼうする医薬品等を個人輸入する場合の取扱いについて)。
ラシックスは脳機能に影響を与える薬ではないため、厳密にはスマートドラッグの定義に当てはまりません。
ラシックスが指定薬物の対象となった明確な理由は公表されていませんが、美容・ダイエットを目的とした安易な使用により健康被害の危険性が高まったためと考えられます。
実際、ダイエットをうたうフロセミドを含む商品をタイから個人輸入し、服用した人に健康被害が報告されています(参考文献:個人輸入品にご注意ください|厚生労働省)。
【正規ルート】ラシックスの代わりと安全な入手方法3選
選択肢①:代替薬「トラセミド」「アゾセミド」を個人輸入する
ラシックスと同じ「ループ利尿薬」に分類される薬剤は、他に「トラセミド」と「アゾセミド」が国内で承認されています。
これら2製品は規制の対象にはなっていないため、個人輸入代行サイトを通じて入手可能です。
ただし、トラセミドも本来は、医師の診察を受け処方せんにより入手可能な処方せん医薬品です。
例えば個人輸入により入手した場合、偽造品や品質が保証されていない製品が届く可能性があります。
また、副作用が出た場合は、国の副作用被害救済制度の対象外です。
個人輸入をする際は、信頼できるサイトから行いましょう。
選択肢②:病院やオンライン診療で「フロセミド」を処方してもらう
安全で確実な方法は、医師の診察を受けフロセミドを処方してもらうことです。
なお、ラシックスは心臓・腎臓・肝臓・血管障害を原因とする浮腫に対して承認されている薬です。
そのため、保険の範囲内で処方を希望する場合は、むくみの原因が適応疾患でなくてはなりません。
美容・ダイエット目的で処方を希望する場合は、肥満外来やダイエット外来を標榜している医療機関に相談してみると良いでしょう。
保険適用外ではありますが、その人の悩みを聞いた上で、最適と考えられる治療方法を提案してもらえます。
病院に行く時間がない人は、自宅からパソコンやスマホで診察を受けられるオンライン診療がおすすめです。
選択肢③:市販の漢方薬で「むくみ」をケアする
合法で手軽な方法としては、ドラッグストアなどで市販されている漢方薬の服用によるケアがあります。
漢方薬は利尿剤のように強制的に水分を排出するわけではないため、即効性は期待できませんが、体内の水分バランスを整え、むくみの原因に働きかけます。
ただし、むくみの原因に合った漢方薬を選ぶことが大切です。
例えば、冷え性で貧血気味の方には「当帰芍薬散」、飲み過ぎた翌日のむくみには「五苓散」、水太りやむくみを解消する「防己黄耆湯」などがあります(参考文献:漢方で考えるむくみの原因と改善方法・おすすめの漢方薬|ツムラ)。
自己判断で薬を選ぶのではなく、薬剤師や登録販売者に相談しながら、生活習慣の改善とあわせて健康的な体を目指しましょう。
ダイエット目的での利尿剤使用は危ない?薬剤師が解説する危険な副作用
ダイエット目的での利尿剤の使用は、副作用が現れる恐れがあり大変危険です。
利尿剤は体内の水分を尿として排出するため、一時的に体重は減少します。
しかし利尿剤服用による体重減少は水分が抜けただけで、脂肪は全く燃焼していないので、飲食によってすぐに元の体重に戻ります。
ラシックスは服用1時間以内に利尿作用が現れ、その効果は約6時間持続します(参考文献:ラシックス錠 添付文書|PMDA)。
その効果は、服用後比較的早い段階から体重計の表示に顕著に現れるため、飲んですぐに「痩せた」と錯覚しがちです。
その体重を維持したいと思うあまり、薬物乱用に繋がるケースが後を絶ちません。
ここではラシックスの乱用により起こる可能性がある健康被害(副作用)をまとめました。
①脱水
急激な利尿効果により血漿量が減少し、脱水や低血圧等による立ちくらみ、めまい等が現れることがあります。
②電解質異常
生命維持に重要なナトリウム、カリウムといった電解質が尿と一緒に流れ出てしまうため、電解質バランスが崩れます。
③腎不全
体液量と電解質が減ることで、急性腎障害など重篤な病気を引き起こすリスクが高まります。
④難聴
耳の中にある音を感じる細胞の働きを一時的に弱めます。
細胞の中に余分な水分やナトリウムが入り込むことで細胞がふくらみ、聴こえにくくなることがあります。
このように安全性の観点からも、自己判断でラシックス服用は避けるべきです。
まずは、むくみの原因の見直しから始めましょう。
ラシックスの個人輸入に関するよくある質問(Q&A)
Q1. ラシックスとフロセミドの違いは何ですか?
「ラシックス」は薬の商品名で、有効成分として「フロセミド」を含む先発医薬品です。
なお、ラシックス錠には「フロセミド錠」と言うジェネリック医薬品(後発医薬品)も販売されています(参考文献:くすりのしおり フロセミド)。
名前は違いますが、有効成分は同じフロセミドなので効き目は同等です。
なお、市販薬にフロセミドを含む医薬品はありません。
Q2. 代替薬のトラセミドとラシックスはどちらが強いですか?
単純に薬の投与量で比較した場合、トラセミドの方が強力だと考えられます。
心不全患者を対象にした試験によると、フロセミド約40mgに対してトラセミドは10mgの服用で同程度のナトリウム利尿効果が得られました。
一方で、薬が働く腎臓への到達のしやすさと作用持続時間は、トラセミドよりもフロセミドの方が長かったと報告されています(参考文献:Rao VS, et al.:J Am Soc Nephrol. 2025 Jan 1;36(1):99-107.)。
どちらの薬が適しているかは、体質など個人の状態にもよるため一概には言えません。
むくみに悩んでいる場合は、医師に相談し、ご自身に合った治療法を見つけましょう。
Q3. 病院で「むくみ」を相談したらラシックスを処方してもらえますか?
医師が診察をした結果、むくみの原因が心不全や腎臓・肝臓・末梢血管障害によるものである場合はラシックスが処方されることがあります。
しかし、美容目的や塩分・アルコールの過剰摂取など生活習慣に伴うむくみに対しては、処方してもらえない可能性があります。
むくみに悩んでいる場合は、医療機関を受診して原因を特定してもらい、適切な治療を受けましょう。
まとめ:ラシックスの個人輸入は禁止!オオサカ堂でも取り扱いはありません
ラシックス(フロセミド)は2019年のいわゆるスマートドラッグ規制により、個人輸入は禁止されました。
オオサカ堂は法令を遵守しており、お客様の健康と安全を守るためにラシックスの取り扱いはありません。
医薬品医療機器等法に違反した場合、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」が、また関税法においては「10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金」が科せられることもあります。
ダイエット目的での利尿剤の使用は、脱水や腎機能障害、不整脈などの命に関わるリスクを伴う恐れがあり、非常に危険です。
むくみが気になる場合は、生活習慣を見直しや専門家への相談を考慮してください。
また、医師の診察を受けるほどではないと考える場合、薬剤師に相談して市販の漢方薬を試すのもひとつの方法です。
正しい知識を身につけ、健康的に過ごしましょう。

ラシックス(フロセミド)は規制対象であり、当サイトでは取り扱いません。自己判断での使用は、脱水、不整脈、腎不全など命に関わる重篤な副作用の恐れがあり極めて危険です。「痩せる」等の甘い言葉に惑わされず、必ず医療機関を受診し医師の指導を受けてください。本記事が健康管理の一助となれば幸いです。
【監修】オオサカ堂 コンテンツ制作チーム(薬剤師在籍)
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